自閉症ボーイズジョージ&サム/シャーロット・ムーア

475721443X自閉症ボーイズジョージ&サム
シャーロット・ムーア 相原 真理子
株)アスペクト 2008-01

by G-Tools


すっごくよかったです!!オススメ!

3人の息子のうち上のふたりが自閉症。そんなシングルマザーの奮闘記です。冒頭に、この著者の「とある朝」の様子が描かれている。それを読むと、わぁ大変だなぁ…と思ってしまう。
しかし、本書を読めば読むほどに、その気持ちは大きく変わってゆきます。
もちろん大変なことは変わりません。この著者(お母さん)には頭が下がる気持ちでいっぱいです。でも、ここにあるのは、自閉症を抱えたお母さんの苦労話を、涙ながらに語るものでは決してありません。自閉症の子どもたちとの毎日が、リアルに、ハツラツと、生き生きとユーモア混じりに描かれているのです。
全編にわたってわたしが感じたのは「暗くない」ということ。明るいと言うよりともかく「暗くない」んです。暗くなければ「明るさ」は、おのずと後から付いてきます。
そして、著者が冷静だということ。二人は自閉症と言う点では同じだけど、タイプが全然違うのです。そして3番目の息子は自閉症ではない。三人三様の息子たちの様子を目の当たりにして、その違いを楽しんでいるようにすら感じられるのです。
彼女はこのように、冷静に自分の子どもたちの個性を観察して、分析して、どうすれば子どもたちにとって一番なのかを最優先する努力をしています。そして事実から目を背けず、子どもたちをありのままに受け止めている様子が伝わります。もちろん、常にあるのは母親としての深い愛情。
子どもたちが、どんな事をしでかしても、どんなに自分が大変な思いをしても、それをくよくよしない。くよくよしているよりは前向きに受け止めて、その状況の中で出来る限り子どもたちとの生活を楽しもうとする著者のすがたが、本当の子育てとはこうあるべきだ、こう言う母親でありたい、と感じさせてくれるのです。それは自閉症とか自閉症でないとか、その枠にとらわれず、万人に感じさせるはずです。
最後に著者は、自閉症の子どもを抱える人が周囲にいたとして、その家族に手を差し伸べる方法を、具体的に提示しています。日本人はシャイなのでなかなか積極的に自発的に動くことが出来ませんが、そのときはこの本を思い出したいです。

このジョージとサムの弟ジェイク(自閉症ではありません)が、最後に母親に訴える言葉があります。ジェイクの言葉を聞いて、このお母さんの子どもたちへの接し方が、本当に愛情深いものなんだと、確信できます。そのジェイクの言葉は、是非とも本書で、実際に読んでみて下さい。

すべてを読んだ後、もう一度冒頭の「ある朝」のエピソードを読み返しました。最初に読んだ時とは全然違う目で、彼らの様子を読むことが出来ます。
11:58 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(1)

死のロングウォーク/スティーブン・キング

4594004539バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク
沼尻 素子 リチャード・バックマン スティーヴン キング
扶桑社 1989-07

by G-Tools

キングの初期の作品のようです。なんとも暗澹たるロードムービーのような、いや、小説だからロード・ノヴェルとでも言うのでしょうか。近未来、アメリカでは「ロング・ウォーク」というゲームが開催され、全米中を期待と興奮の坩堝に落とします。100人の少年を無差別に集め、ルールに従って銃殺してゆく、最後の一人になるまで逸れは続けられる、歩いている間は眠る事はおろか、立ち止まる事もできず、速度が落ちただけでも警告を与えられ、警告が1時間に3回発せられたら4回目には…。なんとも残酷でショッキングな内容です。読んでいるうちに段々と辛くなってくると同時に、目が離せない物語。結末は予想が付くのですが、予想が裏切られる事を切望して読んでしまった。甘かった。。。

見知らぬ100人の少年たちがロング・ウォークを通じて友情を育み、極限の中でも相手を思う気持ち、あるいは思い出話の中にある少年たちの思春期など、キングらしい爽やかな部分もありますが、いかんせんあまりにも残酷な設定。キングの好きな人にしかすすめられないかも。「バトル・ロワイヤル」はこの小説を元にして作られたに違いないですね。

21:54 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

死のロング・ウォーク/S・キング

4594004539バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク
沼尻 素子 リチャード・バックマン スティーヴン キング
扶桑社 1989-07

by G-Tools


キングの初期の作品のようです。
なんとも暗澹たるロードムービーのような、いや、小説だからロード・ノヴェルとでも言うのでしょうか。
近未来、アメリカでは「ロング・ウォーク」というゲームが開催され、全米中を期待と興奮の坩堝に落とします。
100人の少年を無差別に集め、ルールに従って銃殺してゆく、最後の一人になるまで逸れは続けられる、歩いている間は眠る事はおろか、立ち止まる事もできず、速度が落ちただけでも警告を与えられ、警告が1時間に3回発せられたら4回目には…。
なんとも残酷でショッキングな内容です。読んでいるうちに段々と辛くなってくると同時に、目が離せない物語。
結末は予想が付くのですが、予想が裏切られる事を切望して読んでしまった。甘かった。。。

見知らぬ100人の少年たちがロング・ウォークを通じて友情を育み、極限の中でも相手を思う気持ち、あるいは思い出話の中にある少年たちの思春期など、キングらしい爽やかな部分もありますが、いかんせんあまりにも残酷な設定。
キングの好きな人にしかすすめられないかも。
「バトル・ロワイヤル」はこの小説を元にして作られたに違いないですね。
14:59 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

そうだ、葉っぱを売ろう! /横石 知二

4797340657そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生
横石 知二
ソフトバンククリエイティブ 2007-08-23

by G-Tools



いつも、読んだ後に暗ーい気持ちになってしまうような「ノンフィクション」を好んで読む私ですが、今日は違いますぞ。
ものすごく気持ちがいい、前向きでパワーをもらえるようなノンフィクションをご紹介します。
それがこの本。「そうだ、葉っぱを売ろう!」です。
今から30年ほども前に、ある新米(たったハタチ)の農協職員(営農指導員)が、過疎にあえぐ瀕死の徳島県の上勝町を「葉っぱビジネス」によって、華々しく蘇らせる物語。
各種メディアでも頻繁に取り上げられているらしいので、ご存知の方も多いかもしれません。
著者は1979年に20歳で上勝町農協に「営農指導員」として採用されます。
小さな過疎の町で活気も覇気も感じられない、低迷しているという感じの町。
それではいけないと、著者が農家の人たちに「改革」を唱えても、「よそ者に何が分かる」と一蹴される。
そんな雰囲気の中で、頼みの綱である収穫元の「みかん」が冷害で根こそぎやられてしまうという大ピンチが襲います。
「ミカン農協」と言うだけに、ミカンに頼り切っていた上勝町の農協は、大打撃。しかし、そのピンチが逆にチャンスとなる、つまりミカンが冷害にあって初めて一丸となって復興に取り組むと言う、、、殆ど全てはそこから始まったようです。何か出来ないか、何かと模索した挙句に取り組んだ末に生れた「彩」事業。
葉っぱビジネスとはつまり、懐石料理などの「飾り」のような「妻もの」である「葉っぱ」を売るビジネス。ちょっと自然があれば葉っぱなんてその辺にいくらでもある、その葉っぱが売れるのか?という常識を覆し、ちゃんと「彩」というブランドの「売り物」になって、町を見事に生き返らせてゆくのです。
かと言って初めから「葉っぱビジネス」が成功したわけではなくて、もちろん苦労もあれば失敗も、いろーんな紆余曲折があるのです。それをどうやって乗り越えて行ったか、挫けない著者の頑張りに感動するのです。
そんな著者と気持ちを一体にして町の人たちも、いろんなことに取り組んでいく。その姿の前向きな事といったら、読んでるだけで元気が伝わってくるよう。そして、人と人とのつながりの大切さなども大いに再確認させられました。
著者は「暇ではいけない」と考えました。暇だと人の悪口や愚痴や、よくないことばかり考えてしまう、そんな暇がないぐらい「忙しい」ほうが人のためにはいいんだ。と。
でも、忙しいとは「心を亡くす」と書く、忙しい事は必ずしも人にとって「良い」事ではないと思っていたのですが、著者の言う「忙しさ」はここでは「生き甲斐」となっているんです。
この本を読めばこの町の人たちが、「忙しい」イコール「楽しく元気に生きている」ということが分かります。人々が元気になればもちろん、町全体も生き生きとしてきます。
この町は女性の年よりもパソコンやインターネットを使いこなしています。年寄りには出来ない、とあきらめない。
病気になっても自分の葉っぱや農作物を売ることが楽しみで、早く元気になろうとする。人を動かしているのは「気」なんだと、しみじみ思います。

見て!この表紙のおばさんの元気な笑顔を!
今の社会に一体何が必要なのか、答えがつまってる本だと思いました!
10:32 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(4)

14歳/千原 ジュニア

406213799214歳
千原 ジュニア
講談社 2007-01-13

by G-Tools

麒麟田村氏の「ホームレス中学生」と共に読みたかった本。
今テレビで見ている著者、千原ジュニアとはずいぶんイメージが違うような気がする…いや、納得できる気もする。
せっかく合格した中高一貫教育の中学に通ううちに、自分を見失い、不登校になり、屋根裏部屋に鍵を掛け終日パジャマ姿で過ごすようになった千原ジュニア。
そのことで親は言い争いもするし、母親は泣いている。
千原ジュニアの心の中は、いろんな言いたいことや想いが渦巻いているのに、それを言葉で親に伝えられない。そして、爆発して壁に穴を開ける。すると余計に母は泣く。そんな毎日が綴られていきます。
読んでいてかなり重苦しかったです。
田村の「ホームレス中学生」みたいな感じかと思って読んだけど、ユーモアと人情あふれる「ホームレス中学生」とは全然違ってキツかった。延々と自分でもどうにもならない内面が描写されているんだもん。こう言うのは読んでいて伝染しそうな気がして、こちらも不安定な気分になってしまう。
自分のこどもがこう言う自体になったとき、親としての真価が問われる気がするけど、なかなか立派な対応は取れそうにないわたし。やっぱりご飯に薬を混ぜ込むかもしれません。
ただ、突破口が開けるのは「おばあちゃん」のお陰なのですが、(引きこもりの子どもの気持ちをほぐしたのはおばあちゃんだった…どこかで聞いたような話です)そこから、兄とコンビを組んで漫才師として生きていく道を見つけるくだりは、かなり感動的でした。
真っ暗な中にいたんですね。
でも、その暗い洞穴の先に一条の光が差し込み始め、やがて光射す世界に…。
ラストにすくわれます。
今は明るく笑ってるひとも、ちょっと前は辛い時期があったんだと、今辛い人も、今は見えない光が壁の向こうほんの1センチの所まで来ているかもしれないんだと思える作品。
12:23 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(2)

三面記事小説/角田 光代

4163263403三面記事小説
角田 光代
文芸春秋 2007-09

by G-Tools


すっごく満足感のある短編集。こう言うの大好き。
角田作品でもしかして、一番好きかも!!

実際の事件を題材にして小説化する、そういうのは巷にあふれていますが、世間を騒がせた大きな事件を扱っている場合が多いと思う。
でも、この「三面記事小説」は、大事件ではなく、まさに新聞の片隅に数行で書かれたような、思わず見過ごしてしまうような扱いの「三面記事」の数々を題材にしています。
冒頭に書かれているように、実際の三面記事にヒントを得ていても、内容はまったくのオリジナルのようです。
それにしては、ものすごいリアリティ。まさに事件に関係した人たちが生き生きと、そこに「いる」と言う感じ。
殺人事件もあり、殺人に至らず「悪戯程度」の事件もある。でもそのどれもが、登場人物の心の深淵を描いていて引き込まれてしまうのです。

とくに良かったのが最後に書かれた、介護疲れのすえに母親を殺してしまう話。これは、偶然ながら先日読んだ「裁判官の爆笑お言葉集」で、涙を誘われた事件のことではありませんか!(多分)
偶然に驚きつつも、この物語があの事件の本当の姿であったような錯覚を覚えるほど。そして、やっぱり泣きました。
人間、自分の思っていることや感じていることを、辛いときほど人に聞いてもらいたいと思うし、分かって欲しいと思う。だけど、ありのままの自分100%伝えようとしても、絶対に出来ない。伝えようと思っても、そのパワーもない。愚痴を言ってるうちはまだ、そのパワーがあると思う。何も言えず気持ちに溜め込んでしまう、そして疲れてしまう、そんな主人公の心情が物凄くリアルに描かれていました。

わたし的には深く満足のいく一冊でした!!

13:54 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(0)

裁判官の爆笑お言葉集 /長嶺 超輝

4344980301裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書 な 3-1)
長嶺 超輝
幻冬舎 2007-03

by G-Tools


裁判官が判決を下す時、被告人に対して判決文以外に添えた言葉を集めたものです。
※裁判官には、判事と判事補の二つの役職がある
※被告というのは民事訴訟で訴えられた人
※被告人というのは刑事事件で訴えられた人
いろんな言葉があって、裁判官の人柄を示してて、興味深く読めました。
※で書いたようなウンチクなどもあって面白かったです。(ウンチクはその時は『へぇ〜ほぉ〜』と思うけど、すぐ忘れてしまう)
タイトルの「爆笑」はどうかと思うけど。だってもっと厳粛な気持ちがわいてきます。やっぱり「裁判」だし。人の命の事も書かれているのでね。
この本にはおおよそ、100個の裁判官の「お言葉」が載ってますが、この中で印象に残ったのは、なんと言っても、生活の行き詰まりから肉親と無理心中を図り、結果的に承諾殺人の罪に問われた人たちの話。あるいは物言えぬ小さな子どもに対する虐待の罪で、判決を受ける人たちへの裁判官の言葉、というよりもその事件そのものに泣かずにはいられないです。

で、ここでわたしが一番インパクトを受けた部分をご紹介します。
オウム真理教の松本の裁判は、公判の直前に「もうやめてっ!」の横山昭二もと弁護士が解任になり(延期による引き伸ばし目的)国が新たに任命したのが12人の弁護士団だったそうですが、彼らに事件記録等をコピーする費用が、なんと、800万円だったそうな。コピーの費用ですよ。びっくりしました。(金銭的なことが印象に残ってしまうわたしって一体?って言う感じもするけど)
それと、このケース。
被告人は、普通に国道を運転中に運悪く、20台の暴走族に出会います。そしてあおられる。先に行かせようと思い、速度を落とすんだけど囲まれてしまうのです。で、窓から首などをつかまれたため、その人は車を急発進させて暴走族を振り落とし、大怪我をさせてしまう。その結果検挙されてしまうんです。
こう言うのって「正当防衛」ですよね。ところが、推理小説とは違い、実際の裁判では「正当防衛」と言うのは要件が難しいので滅多に採用されないらしい。
でも、この人は結局はそれが認められたらしいけど、そこまでになんと4年もの時間がかかり、で、当の暴走族たちは被告人の車に仕返しで窓ガラスなどを割ったりと言う暴挙に出たのに、やつらにはお咎めの一切はなかったんだって。
コレが日本の裁判の現実か!!と思いまして深く印象に残りました。

ちなみに、この著者の名前、ながみね、はさきと読むそうです。難しいお名前で。
18:35 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

戦場のニーナ /なかにし 礼

4062138255戦場のニーナ
なかにし 礼
講談社 2007-01-30

by G-Tools


読書意欲満々のときに予約したので、意欲低下の今読めるかどうか怪しく、窓口返却しようかと思ったけど一応持ち帰って読んだら読めた。

この本は、中国残留孤児ではなくソ連の残留孤児の物語です。
主人公は日本人だったけど、生き残るためには日本人ではまずいということで、国籍が分からないようにロシア名を付けられて、施設や里親の所を移ろいながら成長してゆきます。
後に日本に一時帰国して自分が日本人であると言う事を確認するまでを描くのですが・・・。
波乱に満ちた人生を送ったのかと言うと、たしかにそうだけど「赤い月」ほどの迫力が感じられなかったし、性描写がしつこく多かったので辟易しました。
ただ、彼女のように人知れず外国に置き去りにされ辛苦の人生を送った人がいるということを知る事ができたのは良かったと思う。

11:54 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

十九歳の無念―須藤正和さんリンチ殺人事件 /三枝 玄太郎

4048837311十九歳の無念―須藤正和さんリンチ殺人事件
三枝 玄太郎
角川書店 2002-03

by G-Tools


以前、↓のご両親の手記を読んでとっても印象に残っています。
この事件の特筆するべき点は、犯人たちの執拗な残忍なこと!!
たとえば、少年たちの事件でぱっと思いつくのは「名古屋アベック殺人」と「コンクリート詰め殺人事件」とかが「怖い事件」の筆頭なんですが、この「栃木リンチ殺人」もそれ以上に恐ろしいです。
ご両親が正和さんの足跡をたどって、借金の返済をしながら、一生懸命我が子とのコンタクトを取ろうとするのに、少しのところですれ違いがあったりで、いっても詮無いことですが「あのとき、ああしていれば」と言う、ご両親の気持ちが手に取るように伝わります。
それよりも警察の怠慢ですよ!!!
この事件では本当に警察を許してはいけないと思う。
こないだ3月に判決が出て、全然納得できない判決だったんですよね。我が身に置き換えて考えても、本当に恐ろしいことです。
黒木昭雄さんの書物も知られてますが、こちらもかなり迫真で、最後は涙涙です。

4794210515わが子、正和よ―栃木リンチ殺人事件被害者両親の手記
須藤 光男 須藤 洋子
草思社 2001-04

by G-Tools


20:49 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

自閉症裁判/佐藤幹夫

4896918983自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」
佐藤 幹夫
洋泉社 2005-03

by G-Tools


(ネッ友さんたちに「またか」と思われて呆れられ、さては引かれてしまわないかと心配しながらも、やっぱりこの手の本を読む)

「累犯障害者」を読んだ時、障害者が犯した事件と裁きの結果において、とても象徴的な事件だと言う印象を受けたので、この本を借りてきました。
事件は2001年4月東京浅草、レッサーパンダのニット帽をかぶった知的障害のある男によって、女子大生が殺されてしまうというもの。
しかし、裁判は、男が「自閉症」であると言うことを加味しない判決となって、無期懲役。(その後控訴しましたが、被告自ら取り下げたとのこと)
行きずりの一般人を一方的に殺してしまう、ということはもちろん、障害者であれ健常者であれ許される事ではない。
亡くなった女性の家族の方々の言葉を聞いて(読んで)いると、辛さ悲しさが伝わりいたたまれません。
しかし、決して公正とは思えない障害者を取り巻く司法のあり方を見て、日本の福祉と言う点でも多いな疑問を提示しています。

しかし、「累犯障害者」を読んだときも思ったのだけど、この事件の陰にいる「被告の妹さん」というのがとっても気の毒なのです。彼女の事を知りたくてこの本を読んだと言っても過言じゃないです。

妹さんは、つまり兄が知的障害者で昔から手を煩わされてきたのですが、父親も実は知的障害者だったのです。(母親は既に他界)
でもそれを知らずに、当然障害者手帳なども持たずに、ひたすら父親の面倒を見るだけの生活。働いても働いても父親が賭け事などに使ってしまう。そうして癌に侵されてしまうのですが、その病気の時も自身の病院代を支払うために、働いています。しかし、それでも父親が使ってしまう。そんなときに起きたのが兄の刺殺事件。
しかし、皮肉な事に、この事件がきっかけで妹さんは、共生舎という障害者の支援グループの援助を受ける事ができるようになったのです。
しかし、そのとき既に命はわずか数ヶ月と、限られていました。せめて数ヶ月楽しい事をしよう、と言う共生舎の人たちの提案に「25年間生きてきて、楽しい事は一つも無かった」と言ったらしい。
残りのわずかな期間だけでも、共生舎の人たちの充分なケアを受けて少しでも幸せな時間を持てたようなので、その点救われる気もするのですが、こんなにも困窮している家族(困っていたのは妹さんだけだったのだけど)を、公共の福祉は何の手助けもしてない。癌の手術を2度も受け、いたるところに転移もあり、そんな体でも自分の病気の必要経費のために働かなくてはならない・・・もっと早くなんとかならなかったのかと、無念と言うか腹立たしいと言うか。
父親にも兄にもお金をせびられ、自分のために買ったものも持ち出されて金に換えられる生活。
なんとかならなかったのか。それしか言葉が出てきません。




そして、また他にも読んだ「事件モノ」ふたつ。↓
 ...続きを読む
17:23 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(6)