神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩/石井 光太

神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く
神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く石井 光太

新潮社 2007-09
売り上げランキング : 50786

おすすめ平均 star
star実体験は少なくとも卓上の勉学よりは貴重であろう
star圧倒される現実。これは虚構ではないのだよな。
starイスラムを理解できるファンタジー

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「もの乞う仏陀」の石井光太氏が、イスラム圏の風俗に焦点を当てて、実際に半年以上その場に身を置いて、見聞きしたもの感じたものを纏め上げたルポ。
今の日本で、普通の生活をしていたら、考えられないほど貧しい人々がここには書かれています。それは「もの乞う仏陀」でも同じだった。たとえば、物乞いをするために、自分で体の一部を切り取ったり、子連れのほうが同情を拾いやすいと言う事で、子どもをさらってきて、その子どもの体や顔の一部を切り取り、より多くの施しを受けようとしたり。
今回は、生活のために身を売る女性や少年を取材しています。
最初のうちは、そういった生活の中でも「一生懸命に生きている」人たちを見て、著者はこう言う人たちを「救おう」としているのではなく、どこまで共感できるか、出来る限り彼らの人生を肯定したい、と言う気持ちがあるのではないか?と感じました。
しかし、読めば読むほど、そういう感覚はなくなり、ひたすらその凄惨な生活にたじろいでしまう気持ちになりました。
先日、どこかのタレントさんが「チャリティとか慈善という言葉は嫌いだ。施すと言うのは、上からの目線だから。助けてあげなければと思うよりも、こちらも向こうの人たちから学べる何かがあるはず、お互いにそういう自分たちの持っている素晴らしい部分を交換する気持ちになるべき」とかなんとか言っていました。誰だったか忘れたし、言葉も正確には覚えてなくて、いい加減なもんですが概ねこんなことを言ってました。
この本を読み始めたときは、そのタレントの言葉をふっと思い出しました。
最初にそのタレントの言葉を聞いたときは「いい事を言うなぁ」と思ったんですよね。。
でも、13歳の自分の娘と同じ年の子どもが、体を売らなければ生きていかれない現実を、どう捉えたらいいのか。お金なんて、日本円にして数十円とか、あるいは一食分とか。中にはもっと酷い事をする人もいるようです。自分の娘がそんなことになったとして、それがそのタレントさんの言う事で済まされるのか。どうか、娘を助けて下さい、と言いたいでしょう。路上でしか生活が出来ない、食べるものもない、体を売ることしか出来ない生活、想像すらできないような貧困。。貧困と言う言葉すら、追いつかないほどの底辺で生活でする人たち。彼らに「お互いに素晴らしい部分を交換しましょう」と、言えるんでしょうか。この本を読みながら、ずっとそんな気持ちになってしまいました。
石井氏の文章は、会話文があまりにも小説調で、ノンフィクションらしくないのです。そこが反発を受けている部分もありますが、それでも一読の価値ある本だと思います。
思っちゃいけない、それは思い上がりだと思う、でもどうしてもその生活と自分の生活を比べてしまい「よかった、日本に生まれて」と、思わずにはいられないのです。

著者の石井光太氏のHP「コウタイズム」はこちら
20:14 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

顔なし子/高田 侑

4344013727顔なし子
高田 侑
幻冬舎 2007-08

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東京での生活に見切りをつけて、20年以上離れていた古里へ戻った修司。義理の弟である桐也は、ここ数年音沙汰がないという父の言葉に、修司の思いは忌まわしい事件のあった昭和55年へと馳せる。修司の父親は妻を亡くして喪の明けないうちに、桐也の母親を連れてきたのだ。すべてはそこから始まった。昭和55年に何があったのか。そして、その事件が現代にも禍々しい影を落とす。次々と起こる不審な事件は、過去の事件に関連するのだろうか。

陰湿な寒村を舞台に、泥臭くじめじめと陰気な物語が続くのだけど、なかなか読ませます。55年当時の話は、閉鎖的な村社会でありそうな事件だけに説得力がある。妻の喪が明けないうちに新しい女を連れ帰る父親、その新しい女であるセリ、そして昭和55年の修司・・・修司には気を許す女友達である麻樹と、孤独な少年桐也などのそれぞれの心理描写もていねいに描かれていて釣り込まれます。
排他的で残酷な村人たちにたいして、主人公たちは根底に人を思いやる気持ちを持ってるというのが、この物語の魅力だと思う。じめっとしている割に暗くなりすぎずに読めるのはそのおかげかもしれない。
だんだんとミステリー色が濃くなっていくのは、前回読んだ「鉄槌」とよく似た感じがしました。
ただ、ラストのミステリーのオチはそれほど意外性もなく、平凡な感じで拍子抜けしてしまった。もっと、胸震えるような真実が隠されているのでは??という期待を抱かせられる展開だっただけにちょっと残念。でも中盤が面白かったし、おどろおどろしくもオカルトではないかんじが好みだったので、また次も読んでみたいと思わせられる作家さんです。わたしは割と好きなタイプ。
個人的に言いたいのは「桐也に対して、結婚した事を義理の父親になぜ言わないのか?セリが死んだのは義父のせいだと恨んでいるのだろうか?でもその後も血のつながりのない桐也を育てたのは義父なのだから、せめて結婚した事ぐらいは伝えても良かったのでは」と言う事。
しかし、ああ言うラストはそれはそれで良いとおもうけど。
22:01 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

コフィン・ダンサー/ジェフリー ディーヴァー

4163195807コフィン・ダンサー
ジェフリー ディーヴァー Jeffery Deaver 池田 真紀子
文藝春秋 2000-10

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ライム・シリーズの2作目です。
今回は、コフィンダンサーと言う異名を持つ殺し屋が登場。実はそいつは、かつてライムの部下を殺した事のある因縁の相手。そしてものすごく周到で、誰もその正体を知るものはないどころか、指紋の一つさえも残したことがない。
そのコフィンダンサーが狙うのはある民間航空機の未亡人(夫は既に殺されてしまった)とその仕事上のパートナー。ライムは彼らを守り抜く事ができるのか??

この本では、今回、コフィンダンサーという殺し屋とライムの頭脳戦がスリリングに描かれていて、気を抜けない。(これは前に読んだのもそうですが)ライムが殺し屋の裏をかけば、また殺し屋もライムの裏をかこうとする、と言うように、どちらの頭の中もどうなってるんだろうと思うほど賢いです。
そして、アメリアとライムの気持ち。これがくっつきそうでくっつかなかったりという、読者をジリジリとじらすもので、その部分も目が離せない。
殺し屋に狙われているパーシーとの三角関係にも似た感じが、かなり面白いです。またこのパーシーが最初はすごく傲慢でワガママで嫌な女!と思っていたんだけど、段々と好感が持ててしまう辺りの人物描写もうまい!面白かったです。

しかし、ライムシリーズにどんでん返しはつき物のようですが、今回はちょっとやり過ぎって言う感じも。「えーそりゃないよ」と思ってしまいました。それじゃぁあの時のあれはなんだったの、みたいな。たとえばケータイのところなんか・・。突っ込みたくなってしまうんですよね。突っ込んだところできっと、完璧に跳ね返されてしまうんだろうけど。そこまではすっごく面白かったのに、ちょっと白けてしまったのが残念。でも、面白い事は確かです。
21:58 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

虐待の家/佐藤万作子

4120038858虐待の家―義母は十五歳を餓死寸前まで追いつめた
佐藤 万作子
中央公論新社 2007-11

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2003年大阪府岸和田市で起きた虐待事件。
15歳のその少年が意識不明となってその両親に救急通報された時、体重はなんと24キロだったとのこと。そしてそんな状態まで追い詰めたのは、実の父親とその妻である義理の母親だった。
彼らの言い分では、言うことを聞かない息子に対し、身体的暴力と食事を抜くと言う「バツ」を与えた。それは3ヶ月(推定)にもわたった。
少年は一命を取り留めたものの、重い脳障害が残り、今までのような日常生活は出来ない体になってしまった。当然事件被害の詳細を訴える事も出来ない。
このルポは、その事件に「親の方」から迫ったものである。
放置すれば死ぬと分かっていながら「死んでも良い」と両親が考えたかどうかが、裁判の争点になったらしいが、それを紐解いてゆく。
多分に著者の推理や考察も交えてはいるけれど、多角的に事件を見ていて冷静に判断してある印象で説得力があった。
でも、どうもしっくり来ない部分もあるのは、読み手に虐待の実態が良く伝わってこないというか、親の言う事と少年の受けた被害とがあまりにもずれている感じがするから。
親の方はびっくりするぐらい虐待したと言う意識がないようなのだ。
もっと驚くのは、少年が食事を与えられずやせ細り、次第に正常な判断も出来なくなっていき、なんと自分の排泄物を食べていたと言うもので、それをこの義母もその目で見ているのに、その後義母が語るところによると「それをおかしいと感じなかった」と言うこと。ウンチを食べると言うことも衝撃なのだけど、それを目にしながら「変だと思わない」親の精神構造にもただビックリ。それって本当なのか?
もう一つ腑に落ちないのは、少年はこの家から逃げようと思えば逃げられたのだ。現に弟はこの家を出て祖父母の家に身を寄せているし、少年の方も実の母親と暮らすという選択肢もあったのだ。
なぜ少年がこの家に留まり続けたのか。虐待の家であるこの家に。
それがなぜなのかを紐解くもろもろが書かれたルポなのだけど、それだけに留まらず中学や福祉センターの、虐待児に対する支援のあり方にも言及していて深く考えさせられる。
この事件では、自分の価値観のままに子どもに接しようとした義母の融通の利かなさと共に、それぞれの機関が「自分に与えられた任務をこなせば良い」という、これまた融通の利かなさが悲劇を招いたのだと言うことが浮き彫りになる。
虐待をなくすために必要なことは、虐待を起こす保護者の側からの問題を考えていくこと、そのために行政ができる事はなにかと言う問題提起がなされていて、報道とは色々と違う視点で書かれていて、非常に読み応えがあった。
ちなみに、この事件が福祉関連にもたらした影響は大きいらしく「岸和田以前」「岸和田以後」と、線引きされる物差しになっているらしい。
19:46 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)

黒い履歴/薬丸 岳

読みました。

と言っても単行本ではなく、小説現代の12月号掲載作品。
しかし、コレがとってもよかったんですよ。
短編らしく、少々小粒にまとまってるのが惜しい感じですが。(ナニサマ!)

しかし、人物の魅力といい、物語の方向といい
「天使のナイフ」の薬丸さんならでは!って言う感じ。
主人公や、刑事の魅力は「天使のナイフ」よりも良かった。
好きだもん、単純に。この人たちが。

こんなのを待ってました。
薬丸さん、お次の作品も期待しています!!


B000YGNFXY小説現代 2007年 12月号 [雑誌]
講談社 2007-11-22

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16:48 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

君たちに明日はない/垣根 涼介

4101329710君たちに明日はない (新潮文庫 (か-47-1))
垣根 涼介
新潮社 2007-09-28

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「借金取りの王子」と言う新刊が出ているので、それを読む前にこちらを、と思って読みました。
リストラと言う重苦しい題材を扱っているのに、暗くならずにさらっと描いてあって軽い気持ちで読めるのがいいですね。
この本では、リストラを言い渡す(と言うのとは若干意味合いが違うけど)主人公側の気持ちと、リストラの対象となった相手の気持ちがどっちも丁寧に書かれていて、いわば「裏表」両方読めるのがいい。
恋人との間のことにしても、両面から描いてあるのでそこが面白いと思う。
結構、この主人公が好きだな〜。
20:43 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)

翳りゆく夏/赤井 三尋

406275469X翳りゆく夏 (講談社文庫)
赤井 三尋
講談社 2006-08-12

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第49回乱歩賞受賞作品です。

東西新聞社に内定の決まった女子学生をめぐって、過去の誘拐事件が暴かれると言うミステリー。なかなか面白く、読ませる文章構成で一気に読みました。登場人物も魅力的で好感が持てて、乱歩賞としてはそこそこイケているなぁと。

女子学生は、実は20年前の誘拐犯の娘だったのです。その娘が新聞社に内定が決まって、それをスクープされてしまう。しかし、どうしてもその娘が欲しい新聞社は、過去の誘拐事件をもう一度洗いなおすことにします。そこで20年の時を経て浮かび上がる真実とは!

と言う話なのですが。
面白いのは面白いとして、時効もとっくに過ぎてて、犯人はそのときに死んでしまっているのに、はたしてもう一度その事件を調べようとするものなんだろうか・・・確かに調べなおす事になる過程は書かれているんですが、動機として弱かったと思う。
そして、20年前の事を人は覚えているものだろうかとも。ましてや証言者の中には当時5歳だった人物もあるのです。5歳当時のことをそんなにきちんと覚えているのか・・・昨日のことすら覚えてないわたしには神業に思えるし、わたしじゃなくても無理があるんじゃないかと思ってしまった。たしかに、昨日の事よりも20年前の事の方が覚えてたりするものかもしれないけども・・・。
ミステリーは謎解きを楽しむものなので、時々こうやってかなり都合の良い展開になることがある。それを承知で読むべきなのかもしれないけど、乱歩賞を取るにはちょっと都合よすぎる展開では?と思った。
結末にはある程度予想は出来たけど、でも、面白い展開だと思いました。

話の流れには関係ないけど、途中「職業美人」って言う言葉が出てきて、印象に残っています。その人はお化粧も髪型も地味で飾り気が全然ない、でも、主人公はそのストイックな姿を「キレイだ」と思うのです。よく「薄化粧をするのは人前に出るときの最低限のマナー」と言う事を聞くのですが(聞いたのですが)なんか納得できなかったんですけど・・。上手くいえないけど「職業美人」って良い言葉だなぁと思いました。
11:21 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

神戸大学院生リンチ殺人事件―警察はなぜ凶行を止めなかったのか/黒木昭雄

4794215282神戸大学院生リンチ殺人事件―警察はなぜ凶行を止めなかったのか
黒木 昭雄
草思社 2006-09-23

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国や地方自治体を相手に訴訟を起こす事を、国家賠償請求訴訟(国賠)と言うそうです。今まで読んできたノンフィクションの中でも「桶川ストーカー殺人」や「栃木リンチ殺人」など、警察が的確な捜査をしていれば被害者の命が救われていたと思われる事件でも国賠が起こされている。もちろんそれ以外にも沢山の国賠があるわけですが、ことごとく「国」が勝っています。その確率たるや100%の割合で。
そんななか、初めてその100%以外の判決が出たのは初めてとのこと、つまり異例中の異例だったのです。(だから、100%ではなくなったのですね)
反対に言うと、それほどまでにこの事件の警察は「だめ」だったと言う事。なにせ助けを求めている一般市民を見殺しにしたのです。ヤクザと「持ちつ持たれつ」の関係を築き、恩を売るためにか、とんでもないお粗末な初動捜査。このときの警察の仕事が的確だったら、被害者の男性は死ななくてすんだはず。

事件発生から、警察の怠慢ぶり、裁判の様子など順を追って事件のあらましが非常に分かりやすく良く書かれていて、事件の内容はどうにも腹が立つのだけど、著者の文章には好感が持てました。
黒木さんはもと警察官。そこから本来の警官のあり方など含めて、事件に迫っているので読み応えがあると思う。

いろんな事件で、マスコミを利用して情報操作を行っていると言う告発とも取れるコメントも見逃せません。次の著作が待たれます。
00:36 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(0)

氷の華/天野節子

4344013018氷の華
天野 節子
幻冬舎 2007-03

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ものすごくオーソドックスなミステリーです。
わたしはこの手の推理小説が昔から大好きで読み漁りました。
久しぶりに好みの面白いミステリーを読んだ感じ。


主人公は、なに不自由なく暮らしている良家の若奥様。子どもはなくてイケメンで洒落者の夫はそこそこの収入を得るサラリーマン。経済的にも社会的にも恵まれ容姿端麗、時間をもてあますように色んなサークルに入り毎日のようにお出かけ。わたしなんかから見たら、ため息が出るようなセレブな暮らしです。
しかし、そんな奥様の所にあるとき一本の電話が。その電話は夫の不倫相手だったのです。青天の霹靂に怒り心頭の主人公、恭子が取った行動は・・・。
恭子の「その後」と、事件を追う警察の一騎打ちが息をつかせぬ展開で逸らさせないうえに、その「一騎打ち」が単純なものではなく。事件に隠れたもう一つの真相が明らかになるにつれ、全然好きでもない主人公の思考と行動に釘付けになってしまった。
まぁともかく、主人公の恭子がイケ好かないやつなんですよ。セレブな人種なので、今時の若い主婦とは全然違う雰囲気って言うのが納得できるからその点の設定が上手いなと思います。
物語の進み方は、最初に事件があり、読者はその事件の全貌を見ているんです。叙述はないので安心です(笑)
で、その後は警察との心理合戦や駆け引きなどが描かれていて、いやなヤツなんだけどこの恭子の警察やそのほかの人に対する対応が見事で、なんか一目置いてしまう迫力があるんです。
追われているのに余裕しゃくしゃくの感じの恭子、そしてじっくり丁寧に事件を追っていく刑事の地道な努力。その好対照に見事にハマりました。最後はどっちの事も応援したくなると言う矛盾。
好きになる登場人物がいないのに(刑事も良かったんだけど、好きになるというには人物描写が物足りなかったかな)ハマるというタイプのストーリー。

最後までどうなるのか見えなくて、一気に読んでしまったのだけど、これが著者の60歳にして処女作と言うのが驚き!
なるほど若い人にはない落ち着いた雰囲気があるミステリーだし、かと言って古臭い感じもしなくて非常に良かったです。
天野さんには是非ともまた面白い推理小説を書いて欲しいです。
頑張って!!

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烏女/海月ルイ

4575234877烏女
海月 ルイ
双葉社 2003-12

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祇園の夜の世界に生きる女たちに、店舗を持たずにハンガー屋と呼ばれながら服を提供している主人公珠緒は子持ちのバツイチ。あるとき知り合いから自分の夫を探してくれと言われる。時を同じくして立て続けに殺人事件が起き、事件の陰に「烏女」の存在が噂される。ただの都市伝説なのか、それとも・・・。

++++++++++

ん〜〜〜。ふつーのミステリーって言う感じでしたが、結構楽しめました。この人の世界観みたいなのが結構性に合います。
謎解きとしては、ちょっと物足りない気がしましたが、夜の女の世界、花柳界って言うのか、そんな人間模様など上手く描いてたと思う。気位の高い京都祇園のホステスたちの人物造形も上手かったのでは。
そして、いちばんよかったのは、この珠緒の分かれた夫です。この夫去る事情からあるときはダンボールの中に住み、あるときは日雇い労働をし、ともかく世間からも元妻からも娘からも姿を隠しています。これが、妻が知りたいと思ったことを巧みに調べ上げてくれるし、妻が危険な目に合えば助けてくれるし、なかなかツボでした。こう言う夫婦関係も良いかも!なーんて思ったら結構萌えたわ(笑)
13:36 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)