【本】橋

4163289003
文藝春秋 2010-01

by G-Tools


二人の同級生、直子と正子。実直なOLとなった直子と、水商売の正子。正反対の二人は、やがて娘たちのとある出来事で「共通」の思いを味わうことになる。高度経済成長期を背景に、二人の女たちの人生、そしてそれぞれの娘たちの人生を描いた物語。

実は、この物語のラストには、社会に深刻でスキャンダラスなイメージの話題を呼んだ、ある二つの実際に起きた事件が起きます。
主人公たちの人生が、その事件と結びつくには、私はすこし物語が唐突な気がしました。
そして、なぜ、ここに描かれる事件が実在の事件でないといけないのか?と疑問に思います。
なぜ、彼女たちの行き着く先が、あれらの事件でなければならなかったのか。
「犯人像」に迫りたくて小説が描かれているのだとすると、実際に事件のノンフィクションを読んでしまった私には、全然掘り下げられてないと思えるし、犯行のいきさつや動機がきちんと描けてないと感じられます。
「フィクション」を描きたかったとしても、ノンフィクションを読めば分かるように、実際の出来事からエピソードを拾ってきているため、まったくの「フィクション」と捉えられないのです。
どうにも中途半端な気がしました。
作家が「小説」を書くのなら、なぜ「事件」も自分で作り上げないのでしょうか。
「事件」を題材にした「小説」を描くのなら、もっと「事件の真相」や「犯人像」「動機」「背景」に肉薄して欲しいと思ってしまいます。(ほんの一例をとると、西村望「丑三つの村」とか、佐木隆三「慟哭―小説・林郁夫裁判」など)
これは私が普段からノンフィクションが好きだから、こう感じるのだと思うのです。
小説が好きな人は、こういう小説も気に入るかもしれません。
かなり傲慢な感想文になりました。すみません。
ノンフィクションとフィクションは全然違いますよね。ついつい、ノンフィクション好きの視点で・・。スミマセン。
今度は「巡礼」って言うの、読んでみようと思います。




スポンサーサイト
10:59 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(2)
はじめまして、某sns,読書メーター経由できました。
そうかぁそういう読み方もあるんですね。
僕もノンフィクションは好きなんですがこの物語は実際に起こった二つの事件に対するフィクションって読み方はまったくしなかったんです。
連想させられる事件はあくまでも脇役であって高度成長期~日本列島改造~バブル、そしてバブル崩壊。
母親たちの60~70年代の空気、娘たちの80~90年代の空気、日本が踊りそして地すべりを起こして歪んでいく。
川が流れるように本流に抗えず飲み込まれていく日本の姿と人間の姿。
僕はそういう時代の物語として読んでしまったので事件そのものがあっさりと書かれてることが逆によかったと思って読んでました。
やっぱり本を読むって面白いですね。
また遊びにこさせていただきます^^

2010/06/01(火) 02:32:53 | banchi │ URL | [編集]

banchiさん、いらっしゃいませ!
SNSから来ていただき、感激です。ありがとうございます(^^)
橋本作品、初めてでした。
banchiさんも、ノンフィクションがお好きなのですね。お仲間~(^^)
初めてだったので知りませんでしたけど
これって、橋本さんの「シリーズ」で、現実に起きた事件について「フィクション」を書く
というものなのですね。
橋本さんは「時代」を描きたかったのですね。
私はどうしても「事件」を中心に見てしまうので、イマイチに感じてしまいましたが
この物語の中に書かれた事件が、全く別の事件、作家の手によって作り出された事件であれば、私もまた違う感想を抱いたと思うのです。
事実、その事件が登場するまでは、まぁ面白く読んでいたのです。
今「巡礼」を借りています。これも、実際にあった事件のシリーズだそうですね。
懲りずに読んでみたいです。
またお越しください。よろしくお願いします(^^)




2010/06/02(水) 10:13:54 | short │ URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL