【本】おとうと/幸田文

4101116032おとうと (新潮文庫)
新潮社 2000

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ネタバレ含みます。

幸田露伴の娘である、幸田文による、自分の弟を亡くした時の思い出を込めた小説。
これは先日まで、朝日新聞の日曜、読書のコーナーの「百年読書会」っていうのがあるんですが(担当 重松清)そこで取り上げられていました。
私は、中学生のときに読んだのですが、おおまかなあらすじしか覚えてなくて。。「弟が結核で死ぬ話」という。おおまかにも程があるというか、結末しか覚えてないのじゃないか!と言う話(^_^;)。
なぜ読んだかと言うと、これ、その当時郷ひろみが主演で映画になったんですよ。姉の役は浅茅陽子さん、お母さんの役が、岩崎加根子さんだそうですが、姉弟の二人の配役しか記憶にないのでした。いや、とくに郷ヒロミのファンではなかったけど、映画好きだったので見に行っただけ。

小説は、品のある名文でイマドキの小説にはない雰囲気が楽しめました。
前半は、弟がやんちゃで身を持ちくずしていく様子・・・母親が義理の母でリョーマチ(いまはリウマチと言いますが・・)なので、家事全般を17歳の姉、げんがやっています。学校と掛け持ちで家事をしながら、母の愛情に飢えている弟の世話をしているようすが、健気です。案外のんきで、若いからこそのその場限りの勢いみたいなのもあって、面白い性格の姉です。
弟は甘えん坊で、体も小さく、ふとした弾みから道を逸れてしまうのですが、そんな弟を心配する姉の心情が切々と伝わります。なさぬ仲の母との不仲もあって、恵まれてない境遇なんですが、それでも母の立場も思いやれる優しい姉、げんなのです。
後半、その2年後の設定で、碧郎が結核になってしまいます。当時は不治の病。絶望のなかで寄り添うように介護し、されるふたりの姿になみだ、なみだ。
悲しい物語なのですが、暗い感じは受けず、(結核で暗いと言ったら「リツ子 その愛」「その死」という壇一雄の小説というか自伝がすごくインパクトがあって、あの暗さに比べたら明るく感じるのかもしれません。結核と言う不治の病で、明るいと言うのも変な話ですが)私はひたすら、げんと碧郎がお互いを思い合うきょうだいというつながりの愛情や優しさに感動しました。

しかし、中学当時、私はこれを読んでどう思ったんだろう?
頭のいい文学少女の友だちがいて触発されていたんだけど、その子とは映画も一緒に見に行ったんでした、精一杯背伸びして読んだのだろうなぁ・・。それが証拠に全然内容を覚えてなかった!
覚えている事と言ったら、碧郎の唇が赤いって言うことと(結核患者特有)今わの際に母が呼ぶ「碧郎さん!碧郎さん!」と言う声だけなのでした(^_^;)。

本の内容だけじゃなく、そんな自分の子ども時代のことも思い出しながら読んだのでした。
ちなみに、百年読書会の影響と思うけど、予約が何人もあるのです、この本。


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14:17 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

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