【本】幻獣ムベンベを追え/高野秀行

4087475387幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)
集英社 2003-01

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ここのところ、ハマっている高野さんのデビュー作がこれ。
早稲田大学在学中に、探検部から実際にコンゴに渡り、テレ湖に棲むと言われている、幻獣ムベンベを見つけるプロジェクトを立ち上げ、本当に現地に行き、40日近くテレ湖畔でキャンプを貼り実地調査した記録を本にしたもの。
この本の読みどころは大まかに分けて、3点あるかと思います。
その1、ムベンベは本当にいるのか、見つけられるのか。
その2、大学のサークルと言う素人軍団?がどこまでやるか。
その3、ずばり、本として面白いのか。
なんて書いてしまうと、上から目線のようですが、もうとっくに高野サンのファンになっていたので、期待度120%で読みました。もちろん、期待以上の面白さ。こう言う本、大好きです。
個人的なことを言うと、私は、ネス湖のネッシーも、UFOの存在も信じてない(ユーレイも占いも)超現実主義。( しかし、以前鹿児島に住んでいたときに池田湖にイッシーがいると言うのを聞いて、池田湖を眺めると、本当に「イッシーがいたら見たい!!」と言う気分になってしまったのも事実。真剣に湖面を眺めてイッシーの影を探しましたっけ・・・。アレは不思議。まぁ池田湖には巨大なウナギがいるので、あながち巨大生物がいても妙に納得してしまいそうですが。と言うのは置いておいて。)
だから、ムベンベが実際に見つかるかどうかは、実は私の中で、興味の度合いとしては低かったのです。
私が読んでいて面白かったのは、やはりこの一行の行動力です。
たかが大学のサークルと侮るなかれ、前準備などを含め、国交のないコンゴ政府とのやりとりや、現地の専門家の手配や、各企業の提供を仰ぐなどした機材の調達、ともかくプロと言っても過言じゃないその準備周到さであり、体勢の万端さであり、、、現地に行ったら行ったで、キャンプの張り方から見張りや探索など、これまたただの学生とは思えない手際のよさ。問題が勃発してみんなで話し合いをするときの意見交換の内容の高度さ(やはりエリート)などなど、へぇ~ほぉ~とただ唖然。
著者高野さんなどは、現地のリンガラ語まで会得して現地の人たちと現地の言葉で話すという堪能振り。「メモリークエスト」で、リンガラ語にものすごく思い入れのある記述が出てきて、その時はその興奮振りがちょっと分からなかったのですが、これを読んで得心しました。
一番印象に残っているのは、コンゴ人のガイドたちが狩りをする様子です。野ブタやワニはともかく、ニシキヘビ、サル、ゴリラ、チンパンジーまで食べてしまうのは驚き。そのほかにもマラリアの恐怖、各種虫たちの恐怖など、読んでいるだけでも背筋が凍りそうな部分も、なぜか面白く読めてしまいました。隊員たちの必死の姿、やがてやつれまくっていく姿の不憫さに、そんなのいるわけないでしょう・・・と思ってしまっている私でさえ「見つかって!」と、思ってしまいます。
そして、読みどころの3番目。高野さんの書く文章の面白さ。これに尽きます。卒論にアフリカ文学の翻訳をして認められ、その翻訳が一般文芸書として出版されているのも頷けます。妄信的に「ムベンベはいる」と思ってるのじゃなく、冷静に「いないならいないでもいい」というスタンスのようなので、まったく違和感がなく応援すらしてしまうのです。
本書は、ただの「探検のまとめ」としてではないと思います。そこには40日の間ジャングルで文明人が暮らす事の困難さの中に、人間の本質みたいなものが顕われていて、大変興味深かったです。
巻末には、各メンバーの一言コメントもついていて、それも面白く読ませていただきました。
ただ、自分の息子がこんなことをしようと言ったら、、、と思うと、ちょっと「感動」とか「興味深い」ではすみませんね・・・・!





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