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【本】ワセダ三畳青春記/高野秀行

4087476324ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)
集英社 2003-10

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私は今年に入り、著者のファンになりましたが、それまでというか、最近までこの著者を知らなかったのです。
しかし、知る人ぞ知る辺境作家と言う肩書きを持つ人です。
それは読んできた数冊の著書からも知っていたのですが、その背景には「早稲田大学探検部」というサークルがあり、そのサークルの先輩には、かの船戸与一氏やら西木正明氏やら著名作家も名前を連ねており、タダのサークルではない迫力が伝わります。そのことは、この次に感想文を書く予定の本でも触れる事になりましょうが、ともかく、「その」探検部の高野秀行氏の青春時代の一シーンを切り取ったものが本書です。ともかく面白い。
早稲田大学の正門から徒歩5分なのに、家賃1万2千円。三畳で風呂なし、共同トイレに共同台所だけど、鍵も掛けずに誰でも出入り自由的なのんびりした感じ。都会の真ん中現代で、そんな場所が残っていたのかと言うほのぼのとした嬉しさと、集まってくる奇人変人の可笑しさが群を抜いていて、目が離せないと言うか、一気に読み上げてしまいました。本書のなかにもそういう記述があるけど、「めぞん一刻」みたいでもあり、「ハチクロ」みたいでもあり、貧乏生活が楽しそうにさえ見えてくるから不思議です。でも、一度はこう言う生活をするのも、人生経験として大事な気がする・・。
特に印象的なのは、この大家さんの朗らかさや大らかさですね。大家さんの大きな懐に抱かれるように、心地よく自由で気ままな生活を楽しんだ著者が、やっと「成長」してこの野々宮荘を離れていくまで・・・。
著者を野々宮荘から連れ出したものの正体が分かるとき、そこにほろ苦い別離の寂しさとともに、人と人が結ばれる「機縁」のようなものを見せ付けられ、圧倒されてしまいます。こんなにあけすけに、自分の愛情を世間にさらせるっていうのは、高野さんがすごく大らかで男気がある証拠であるような気がします。なかなか言えないですよ、ここまでは。
最後はもう、なんだか胸が詰まって泣けて泣けて仕方がありませんでした。

個人的には「米騒動」の犯人と言うか真相は?というのが気になります。守銭奴さんのその後も。

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14:06 : [本・タイトル]わ行トラックバック(1)  コメント(0)

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