FC2ブログ

【本】輝ける闇/開高健

410112809X輝ける闇 (新潮文庫)
新潮社 1982-10

by G-Tools


著者の体験をもとにしたらしい、ベトナムに従軍記者として派遣された主人公の「日常」を描く作品。
この小説の中では確かに「日常」なのだけど、それは戦時下の日常であり、こちらから見ればそもそもが非日常の世界。だけど、その場にいてそこで暮らせば、その「非日常」が「日常」になるんだと思う。たとえば、戦闘が繰り広げられる中でも「シエスタ」という習慣は健在で、その時間が来たらのんびり昼寝をすると言う・・・不思議な感じがするけど、それこそが「ベトナム戦争の日常」なのだと思って、ちょっとびっくりしてしまう。そして、常に人が死に、死体をその辺で見たりするのだそうで。
そういう、舞台自体が「ドラマティック」で、ストーリー展開は「非ドラマティック」、淡々と語られる。
圧倒されたのは、その文体です。
湿気と粘り気のある空気、そして独特の臭気まで漂うような描写、表現・・そして主人公の内面を高までえぐるように描いてあるそのことに圧倒されました。これぞ純文学、これこそが文学なのか?と思えるほど一つ一つの表現がものすごく洗練されてすごい。今まで私が読んだ事のある文章はナンだったんだろう?と思えるほどに・・・(って言うと、既読の作家や作品にあまりにも無礼なんだけど)。ひれ伏したい気分になりました。


スポンサーサイト



17:36 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)
最も好きな小説です。おっしゃるように、ヴェトナムの空気感が濃密に伝わってくる感じがします。その中で「人間」のありのままの姿が乾いた文体で描かれている。何度も読み返したくなる作品です。以下、関連記事をUPしております。

http://trinidad.blog.so-net.ne.jp/2012-08-19

http://trinidad-parallel.blog.so-net.ne.jp/2012-09-02

2012/09/04(火) 01:05:22 | sol │ URL | [編集]

solさん、コメントありがとうございます。
いまどき読むと、あの湿気が本から漂ってきそうですよね。
私ももう一度読みたいと思うのです。
すばらしい本でした。

2012/09/04(火) 13:02:13 | short │ URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL