自治体クライシス 赤字第三セクターとの闘い/伯野 卓彦

4062821044自治体クライシス 赤字第三セクターとの闘い (講談社BIZ)
伯野 卓彦
講談社 2009-02-03

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自治体と言うことについて、とても真剣に考えさせられた一冊。
著者はNHKの「クローズアップ現代」などの取材編集を通してこの問題に取り組む事になったらしいが、かなり丁寧で地道な取材と、砕いた読みよい文章で分かりやすく書かれていてよかった。

財政再建・・というと、夕張市が有名になってしまったけど、他にもその危機に面している自治体はたくさんあり、他人事ではないというのがヒシヒシと伝わってきた。
今私が住んでいる自治体も決して裕福な財政状況とはいえない。だけど、ここに登場する切羽詰った自治体と比べたら、はるかにありがたい感じがした。充分に住民サービスが受けられないから(中には、お風呂に週2回しか入れない人たちも!!)、税金が高いから、住みにくいからと言ってそそくさとどこかに移住してしまうわけには行かないし、また皆がそれをしたら地方は破滅してしまうだろうし。。農村などの小さな集落が高齢化や過疎化で消えていくというのも最近よく耳にするが、それが自治体規模で起きてしまったら・・・。考えてみるととても恐ろしい事なのでは。
私たちはもっと自治体について理解し自治体の運営に興味を持たねばならないと、痛切に感じられた。ひょっとしたらウチの市だって、こう言う将来が待っているのかもしれないのだ。

そもそもはバブルの頃に国が推進してきた「リゾート法」とか「テーマパーク法」と言う法律に乗って、あちこちに出来た第三セクター。当初予定していたように収益が上がらず、数年後には殆ど経営破たんするも、破綻したら自治体がその負債をいっかつ支払いしなければならない義務が生じる「損失補償契約」と言う契約が結ばれていて、赤字第三セクターを処分すれば自治体に大きな負担、存続させれば膨れ上がっていく赤字、進むも地獄引くも地獄・・という状況に陥っているところが多いらしい。本書はそれを順におって説明してあり、今なぜ自治体がそんな危機に瀕しているのかその仕組みがとてもよく分かる。例にとっているのは、青森の大鰐町、長野の飯綱町、北海道の芦別町、赤平町など・・。
特に赤平町などは住民の為に必要不可欠な自治体病院によって大きな累積赤字をかかえてしまい、再生に向けてまさに血の滲むような努力の最中だそうで、職員も気の毒なら住民も気の毒なあまりの惨状に驚く。(お風呂に入れないお年寄りがいるのはここ)

国が地方分権、地方自治ということばで地方を切り捨てるような発言も本書に見られ、自治体が充分将来を検討せずにリゾート開発にまい進してしまった(地方活性を「リゾート開発」に活路を見たのはよく分かる)無責任さよりも、やはり何を一番に考えていたのかと思うと、国に対して不信感が沸く。
原因はどこにあるのか・・と言う事も大事なのだが、自らの給料をカットされ(給料だけで生活するのが苦しいぐらいの職員もいるとのこと)自分たちが始めた事業でもないのに、尻拭い的に前任者の後始末をまさに粉骨砕身で頑張っている人々の姿に頭が下がるし、また住民サービスなどを充分に受けられなくても、自治体職員を信頼してじっと我慢する人たちの姿にも感銘を受けた。
どんなどん底でも、諦めず問題解決に向けて努力する人々の姿は、暗い未来に一条の光だと思う。

是非とも皆さんにご一読していただきたい一冊だと思う。

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