なぜ君は絶望と闘えたのか/門田 隆将

4104605026なぜ君は絶望と闘えたのか
門田 隆将
新潮社 2008-07-16

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光市母子殺害事件(ひかりしぼしさつがいじけん)は、1999年4月14日に山口県光市で発生した凶悪犯罪。当時18歳の少年により主婦(当時23歳)が殺害後暴行され、その娘(生後11カ月)の乳児も殺害された。(ウィキペディア)

ほんとうに痛ましい事件で、テレビのインタビューに答える本村さんの姿は随分前から記憶に留まっています。さぞかし辛い思いをされただろうと想像したことよりも、やはり本書に書かれていることははるかにつらい事でした。冒頭、事件の詳細が描かれているところは涙なくしては読めません。本村さんが弥生さんに書いたと言う手紙や、弥生さんがお母さんに書いた手紙なども掲載されているのですが、辛すぎて読めませんでした。
本村さんの絶望の深さは、どんなものだったのか。。想像なんてできません。
自分だったらと思うことすら出来ません。きっと死にたくなるでしょう。本村さんもそうだったようです。だけど、本村さんは死にませんでした。苦しみながらもそんな中で敢然と法の矛盾に立ち上がって闘い続けた本村さんの記録。
事件の全貌も書かれていて、衝撃を受けますが、本書は決してそれだけではないのです。
本村さんがどんな風に、その悲しみ辛さ絶望に向き合い、生きてきたのか。
本村さんの強さにこそ感動するのです。
絶望のどん底から這い上がった本村さんを支え励まし一緒に運動した人たちの気持ちのつながりが、深い感動をよぶのです。特に本村さんが会社を辞めようとしたときに上司の人が言った「社会人たれ」と言う言葉は、深い感銘を受けました。
一審二審の供述を翻し、「母に甘える気持ち」だとか「あやす気持ちで首に紐を巻いた」とか「ドラえもんを信じているから」とか、よくまぁそんなことを言うと世間が呆れるような事を平気で言った厚顔さは記憶に新しく、日本全国民が怒りに震えたと言っても良いでしょう。
同時に弁護士同士の確執や、前代未聞の最高裁ボイコットと言う異色の騒動も、本事件の異様振りを示していて、翻弄された原告側が気の毒で、それだけとってみてもとても印象に残る事件です。
少年法についても色々考えさせられますが、死刑についても考えさせられる本。安易に反対賛成どちらかに決められないこの問題。しかし、「万死に値する」と思う気持ちはやっぱり同感してしまいます。
本書の中で、本村さんがアメリカの死刑囚に会いに行くくだりがあるのだけど、そのアメリカ人死刑囚は深く反省していて、死刑がそぐわないような印象を受けるのです。でも、それは「死刑判決」を受けたからこそ自分の罪の深さに慄き、そこから出た反省なのかもしれません。
この光市母子殺人の犯人、文中ではFとなっていますが、彼が最終判決の後著者との面会で、それまでの彼とは全然違う様子を見せ、深く反省しているようであったと書かれているのですが、本当のところはどうなのでしょうか。


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12:02 : [本・タイトル]な行トラックバック(0)  コメント(2)
shortさん、こんにちは。

この事件はあまりに衝撃的で、初めて本村さんをTVで見た時に泣いてしまったほどでした。
死刑制度や未青年犯罪について考えさせられた事件、少しでも真実を知りたいので、久々に図書館に行って予約してきます。

どうしても本村さん寄りに事件を見てしまうので、青年側の話も意識して受け入れていたのですが、この本を読んだらまた一気に気持ちが傾きそうで怖いです。

読んでから、また延々と語ります(笑)

2008/12/22(月) 06:55:02 | ブラッド │ URL | [編集]

ブラッドさん コメントありがとうございます。
私はどっちかと言うと死刑制度には反対なんですが、この本を読むとほんとに、被害者側になって、犯人には「死んで罪を贖ってくれ」と思ってしまいます。
この本には、犯人の青年の友達に当てて書いた手紙は、活字として印刷されていたので印象が柔らかいですが、雑誌などに掲載された本人直筆のふざけた手紙を見ると、どうしても本村さんの無念に寄り添ってしまいます。
自分の「死刑には反対」と言う意見も、確たる信念みたいなものはないので、揺るぎっぱなしです。
とにもかくにも、気の毒でたまりませんし、本村さんの強さに感動します。
読んでくださいね。また感想聞かせて下さい!!

2008/12/22(月) 10:01:33 | short │ URL | [編集]

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