最後の大奥 天璋院篤姫と和宮/鈴木 由紀子

434498062X最後の大奥天璋院篤姫と和宮 (幻冬舎新書 す 2-1)
鈴木 由紀子
幻冬舎 2007-11

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歴代将軍の正室は殆どが宮家や摂津から迎えられていた。なのに、篤姫は周知の通り島津家という外様藩からの輿入れでした。なぜ島津藩なのか、というと、それにはやはり何年も何代もかけて築いてきた両者の関わりがあったからなのです。それは将軍吉宗の時代にまでさかのぼり、将軍家から島津に嫁いで来た竹姫という人の存在がとても大きかったようなのです。この竹姫の存在があったから篤姫が将軍の正室になると言う、不思議なご縁に発展したとのこと。竹姫と言う人は、篤姫に劣らず大きな働きを負った人物であったようで、ここに描かれている竹姫の姿がすごく興味深いのです。後に描かれる篤姫の姿もそうなのですが、竹姫にしても婚家の発展を一心に望み、尽力しています。その私欲を越えた「縁の下の力持ち」的な存在は、同じおんなとして深く感銘を受けます。なぜ島津から篤姫という遠縁のお姫様が将軍家に嫁いだのか、そのように時代を掘り下げて丁寧に説明されているのが前半です。
後半は、「やっとのこと」で将軍正室になった篤姫の孤軍奮闘の日々、そして、和宮との軋轢の日々を経て二人の女性が「徳川家」のために「同士」となっていく過程に読み応えがあります。何かと「京都流」に拘ろうとする和宮と、根っからの武家の女篤姫は最初のうちこそ敵対にも似た立場になってしまいますが、将軍家茂の深い愛情に和宮が応えるように、篤姫との間柄も和らいでいき、最後には深い信頼で結ばれたようです。間に立つ立場と言うのは辛いもので、どこの家でも嫁姑の間に立つ男性と言うのは苦労されると思うのだけど、この家茂は見事に二人のかすがいとなったことが良く分かります。さぞかし立派な男性であり、包容力のある夫であったのかなと思います。
また、篤姫のよき理解者として登場する勝海舟の姿にも、とても好感を覚えます。海舟語録というものがあるのだそうで、それも興味を引かれます。海舟の本もなんか読んでみようと思いました。
明治維新という、想像もできないほどの激動の時代を、まさにその渦中で生きた二人の女性の人生とはいったいどんなものであったのか、思うほどに頭が下がります。二人が晩年、暖かい交流を持ちながら生きたと言う事は、少しなりともホッとさせてくれます。和宮32年と言うあまりにも短い人生、篤姫にしてもたった49年の生涯。時代の流れに翻弄されたふたりの短い生涯にとても感慨深いものを感じました。

くままさんにお借りしました。ありがとうございました。

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10:03 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(2)
思えば宮尾さんの「篤姫」を読んだのは、shortさんのオススメがあったからでした。
あの時は、こんなにブームになるなんて、思いませんでしたよね。正直、それまで、「篤姫」という名前さえ知らない私でしたから。

教科書には出てこなくても、こんなすごい人がいて、今の日本があるんだ、と知ることは、おもしろく、歴史観を少しずつひろげてくれますよね。

しかし、かえすがえすも、一度くらい、篤姫に里帰りさせてあげたかったなあ、和宮も。

2008/10/21(火) 18:17:43 | くまま │ URL | [編集]

おねいさま、ありがとうございました。
わたしが篤姫をオススメしましたか?
そのこと自体は覚えてないんですが(^_^;)
でも私も同じく、篤姫という存在をそのとき初めて意識したのでしょうね。。
(永井路子の「歴史をさわがせた女たち」に載っていたと思うのですが)
里帰りね~。
当時は本当に遠かったでしょうね。しみじみします。
おねいさまの幕末本の読破に、わたしも影響されています。
色々時間があれば読みたいです。

2008/10/24(金) 14:50:03 | short │ URL | [編集]

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