2008'06.29
![]() | 私の男 桜庭 一樹 文藝春秋 2007-10-30 by G-Tools |
内容に触れています。未読の方、ご注意下さい。
結婚直前の花にとって「私の男」とは、花婿ではなく15年間一緒に暮らした養父の淳悟のことだった。物語は、結婚式当時から、数年ずつさかのぼり二人の過去を掘り起こして行く。
第一章で提起された謎が、各章時間をさかのぼる事で次第に明らかにされていくと言う設定です。そのなかで、花と淳悟ふたりの濃密な生活ぶりを浮き彫りにするのです。閉塞感と安心感が奇妙に同居する人生のなかで溺れるように生きているふたり。そして、明らかになる事実とは・・・!!
ものすごい問題作だと思うのだけど、文体などの雰囲気でかなり内容から目をそらされてしまう。でも、根底に描いてあることは、とうてい受け入れられないのです。それを問題視する物語ではないので、余計に嫌悪感が沸いてしまいました。
各章ごとに、「その後」が気になる展開なのですが、「その後」にはあまり触れられておらず、なんとなく数年たったみたいな展開なので、その点もすこし消化不良。たとえば→ネタバレ 婚約者の男はふたりの睦まじい姿を目の当たりにして「このふたりはデキてる」と思わなかったのか、思ってもなお花と結婚しようと思ったのか、不思議です。この場合、何もかもわかってのことだと思うのだけど(何年も付き合っていて気付かないはずがないので)そのうえで花と結婚しようとする、この婚約者の倒錯した内面こそ、もっと覗いてみたかった。
ほかにも、隠した死体との同居生活はどんなものだったのか、とか。。。田岡は捜索されなかったんだろうか。においなど異変に周囲は気付かなかったのか。
そしてなによりも思うのは、何故淳悟は花の母親とそういう関係になったのか、また、実の娘に対してそういう行為をするようになった背景はなんだったんだろう?すべて自分の母親が、父亡き後に厳しい母親になったからだとしても、それが何故たった9歳の少女の性的虐待につながるのか、とういように、主人公たちをこう言う行動に駆り立てたその根源は何かなとが、もうちょっと説得力があったら読後感は違ったのかもしれません。
唯一良かったと思ったのは、震災にあった一家の中で、ひとりだけ難を逃れられる花に向かって、父親が愛情深く「生きろ」と伝える場面です。花に別の親戚の所に行けと、花を心配した大塩さんのふたりがこの物語の救いです。





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