高熱隧道/吉村 昭

4101117039高熱隧道
吉村 昭
新潮社 1975-10

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この本は、最近吉村さんを読むようになり、代表作だと聞いていたので、是非とも読んでみたいと思っていたところ、ネッ友のくままさまにお借りすることが出来ました。くまま様、ありがとうございます♪

黒部第3発電所。
戦局が重大な局面に達していた昭和11年。日本は、その軍事力増強のための電力供給に、北アルプスの黒部峡谷にダム建設を計画するのだ。
そのために必要なのがトンネル工事。
正式に言うと
「黒部渓谷の上流、仙人谷でのダム構築・取水口・沈砂池の建築と、それにそれに仙人谷から下流方向の阿曾原谷付近までの水路・軌道トンネルの掘鑿(くっさく)工事」
と言うことである。
ところがこれが言語と想像を絶する難工事であった。
きわめて厳しい自然の中での工事である上に、掘り進める岩盤がとっても熱いのだ。最初のチームが30メートル掘り進んだところでギブアップ。そのときの岩盤の温度、摂氏65度であったらしい。
その後を引き継いだ佐川組の、岩盤との…というよりも、自然との死闘を描いたのが本書であるが、掘れば掘るほど岩盤の温度は上がり、最高では165度にも達したと言う。何度も温度計(?)が割れてしまう。

その熱い岩盤に、ダイナマイトを仕込んでも、着火するよりも先に自然発火して爆発の惨事。もちろん、何人もの死者を出す。
そこで講じられた策は、水を川から引き上げて掘ってる人にホースでかけるという。そして、その「かけてる人」にも、また、ホースで放水。
ダイナマイトには、また工夫を凝らして自然発火がないようにする。竹筒を使ったりして。
そんな苦労をしてても、死者は後を絶たず。
そのうえに日本では前代未聞の「砲雪崩」と言うものが襲う。
これは、一瞬にしてコンクリートの建物を根こそぎ吹き飛ばすような恐ろしい雪崩のようですが、当事者たちにはわけがわからず、後に離れた場所に建物の残骸や被害者の遺体を発見して慄いたようだ。
何度も、この工事は危険だから止めなさいと言う通達が出ても、結局は軍事目的であるために、人命よりも優先され、過酷な中で工事は完成する。

全長904メートルのトンネルを掘るのに、2年4ヶ月かかり、佐川組請負の第一第二工区の人命損失233人となった。

ちっぽけな人間が大自然に立ち向かうさまは、あまりにもこっけいでありそして無謀であり、そこにかくもやすやすと失われた人の命があまりにも哀れを感じる作品でした。うーん、自然って凄い…。そして人間って…馬鹿だね。

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11:45 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(3)
TBありがとうございます!!

自然には、勝てないですよね。
勝とうと思う方が無謀すぎて…。
どうしてこんな不思議があるのかな、とよく思うけど、この本でも本当に自然の脅威を感じました。
そして、人間の悲しさも。

2005/11/30(水) 22:42:06 | マメ太 │ URL | [編集]

コメントありがとうございました!
マメ太さんのようにうまくあらすじが紹介できませんでした~^^;
でも、本当に自然の脅威を感じる作品で読み応えがありましたよね!!
はい、人間って悲しい生き物ですね~…。

2005/12/01(木) 19:27:11 | short │ URL | [編集]

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2009/03/22(日) 17:23:47 | - │ | [編集]

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