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鉄槌/高田 侑

4575235970鉄槌
高田 侑
双葉社 2007-11

by G-Tools


お初の作家さん。
ホラー大賞の受賞者だそうだけど、本作はホラーとは程遠い作品です。
ミステリーなのかなと思ったけど、さほどミステリー色は強くなく、サスペンス性も一応あるものの、どちらかと言うと普通のドラマの部分が大きく、読む人によっては中途半端な印象を受けるかもしれませんが、わたしは結構楽しめた。

母親が昔、子どもたちと夫を残して男に走り出奔したと言う過去を持つ、町工場の一家。
父親があるとき「ペットボトル症候群」と言う耳慣れぬ病気で不意に死んでしまいます。
妻子を持つ郵便配達の長男、愛に恵まれない結婚生活を送る長女、そして、デパート店員の二男の3人のきょうだいは、父親の死後、以前家を出た母親を探し当てます。
しかし、その母親は実はとんでもない厄災を兄弟にもたらすのです。

+++++++

長男大輔が鰻屋のおかみにクラクラしたり、二男の洋輔は恋人と痴話ケンカをしていたり、長女の早紀が隣の住人の怒鳴り声に耳を傾けていたりして、その中でゆっくりと物語が進むので、話がどの方向に向かうのか分からずじれったい気持ちもありましたが、きょうだいたちの生活そのものが割りと読み応えがあったので、面白く読めたことは確か。

母親に再会する部分ぐらいからかなり面白くなってきて、まったりとサスペンスに向かってゆくこの流れが心地良いというか。

この兄弟は母に捨てられてから、父親と寄り添うように生きてきたのですが、そういう思い出や心情が所々嫌味でない程度に挿入されていて、淡々と書かれているだけに印象に残りました。

それぞれの登場人物が好感が持てるって言うのでもないんだけど、3人のきょうだいとして魅力的で。

しかし、この小説のように法律ではどうしようもない事で苦しめられる人が、実際に世の中にいるとしたら、とんでもないことです。
この小説のような成り行きになっても仕方がないと思わせられる。
ラストは読めたし、犯人も思ったとおりだったけど、逆にそれが良かった奇を衒った人物が犯人だったりしたら、がっかりしたと思う。

作品タイトルもなかなかいいんじゃないでしょうか。
オススメ度★★★★っていうところでしょうか。
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