三面記事小説/角田 光代

4163263403三面記事小説
角田 光代
文芸春秋 2007-09

by G-Tools


すっごく満足感のある短編集。こう言うの大好き。
角田作品でもしかして、一番好きかも!!

実際の事件を題材にして小説化する、そういうのは巷にあふれていますが、世間を騒がせた大きな事件を扱っている場合が多いと思う。
でも、この「三面記事小説」は、大事件ではなく、まさに新聞の片隅に数行で書かれたような、思わず見過ごしてしまうような扱いの「三面記事」の数々を題材にしています。
冒頭に書かれているように、実際の三面記事にヒントを得ていても、内容はまったくのオリジナルのようです。
それにしては、ものすごいリアリティ。まさに事件に関係した人たちが生き生きと、そこに「いる」と言う感じ。
殺人事件もあり、殺人に至らず「悪戯程度」の事件もある。でもそのどれもが、登場人物の心の深淵を描いていて引き込まれてしまうのです。

とくに良かったのが最後に書かれた、介護疲れのすえに母親を殺してしまう話。これは、偶然ながら先日読んだ「裁判官の爆笑お言葉集」で、涙を誘われた事件のことではありませんか!(多分)
偶然に驚きつつも、この物語があの事件の本当の姿であったような錯覚を覚えるほど。そして、やっぱり泣きました。
人間、自分の思っていることや感じていることを、辛いときほど人に聞いてもらいたいと思うし、分かって欲しいと思う。だけど、ありのままの自分100%伝えようとしても、絶対に出来ない。伝えようと思っても、そのパワーもない。愚痴を言ってるうちはまだ、そのパワーがあると思う。何も言えず気持ちに溜め込んでしまう、そして疲れてしまう、そんな主人公の心情が物凄くリアルに描かれていました。

わたし的には深く満足のいく一冊でした!!

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13:54 : [本・タイトル]さ行トラックバック(2)  コメント(0)

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装丁は柳澤健祐。初出は別冊文藝春秋。短編集。 「この小説は実際の事件を発想の発端にしているが、フィクションであり事実とは異なる。」...

2008/11/17(月) 00:08:06 | 粋な提案

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2015/04/25(土) 18:43:40 |