2007'11.29
![]() | 秋の牢獄 恒川 光太郎 角川書店 2007-11 by G-Tools |
「夜市」がとってもよかった恒川さんの新刊です。
これも幻想的な雰囲気に釣り込まれる物語3作品収録。
「秋の牢獄」と言う表題作は、主人公が昨日と同じ朝を迎えるところから始まります。翌日もまた同じ日を迎えます。そう、延々と、来る日も来る日もずっと同じ朝。同じ11月7日と言う日を迎えているのです。
ケン・グリムッドの「リプレイ」と言う名作がありますが、まさにその日本版という感じ。
自分が陥った状況に対する戸惑いや混乱が、やがて絶望や閉塞感に変わり、次第に諦観にいたる。そんな中で見つけた同種たちとの連帯感や依存が心地よくも切なく胸打ちます。
やがて現れる「北風伯爵」の存在がまた読者に大きなインパクトを与えるのです。この物語の続きが知りたく、絶妙のラストにしばし余韻に浸ること間違いなし。
「神家没落」は、あるとき唐突に「家」の束縛されてしまう主人公の物語。「代理」が現れるまではその家にとらわれてしまうのです。実は3作品中でコレが一番面白かった。
「幻は夜に成長する」は、不思議な能力を得てしまった少女の物語。これはまさに山岸凉子の世界に似ていましたね。中盤は良かったけどラストがなんとなく中途半端だったような・・。
でも、それぞれ、恒川さんらしい切なさと幻想的な感じと異次元的な世界観をいとも「隣にある」かのように描いた作品は、充分魅力的でした!





「風の古道」に似ていて、あの犯罪者、ゾクゾクしました。できれば長編で読んでみたいテーマです。
2007/12/27(木) 22:23:45 | じゃじゃまま │ URL | [編集]