ダーウィンの悪夢

B000PIT0RQダーウィンの悪夢 デラックス版
ドキュメンタリー映画 フーベルト・ザウパー
ジェネオン エンタテインメント 2007-07-06

by G-Tools



ものすっごい淡々としたドキュメンタリーです。
上手に編集しようとか、見せ場を盛り上げようとかそういう意図があまり感じられない、ただ映像が見せる事実をこちらが見ているうちに、だんだんと作り手の言いたいことが明らかになり、そしてこっちは衝撃を受ける。
盛り上がりには絶対的に欠けるので、つまらない部分も正直言ってあります。でも、最後まで我慢して見てください。と言いたい。

「ダーウィン」と言うと「進化論」、だから生態系の話なのかと思っていたけど全然違います。
確かに最初は生態系の話なのですが・・・。


アフリカ最大の湖、ヴィクトリア湖。
そこにホンの50年ほど前にバケツ一杯の魚が放流されました。
それが巨大な肉食魚「ナイル・パーチ」です。
琵琶湖のブルーギルみたいなもんで、在来種を片っ端から食べてしまい、ヴィクトリア湖の生態系をめちゃくちゃに壊してしまいました。
でも、そのナイルパーチが食用として海外に向けて輸出されているので、そこには漁をして、大きな加工工場で働く人々(それによって生きている)人々がいます。
一見活気に満ちて見えるその場所は、実は娼婦や、ストリートチルドレンのたまり場。当然エイズも蔓延しているし、住むところのない人たちが飢えてあふれています。いくらでも獲れるナイルパーチは、現地の人は口にする事ができず。現地の人が食べられるとしたら、加工過程で出されたゴミになる部分だけ。なんという矛盾。
それを加工してゴミを食用に加工する工場は、工場ともいえないものすごい不衛生な所で、ウジの沸いた魚のゴミを干したり熱を加えたり。画面からはニオイは分かりませんが、見ているだけでも相当の覚悟が要るほどの・・・。当然有機ガスが発生して、目が完全に無くなってしまった女性もいて、それでもそこで働いているのです。
ナイルパーチの主な輸出先はEUや日本・・・。

それだけではありません。
もっと大きな問題は、その輸送に使われる飛行機にあります。ナイルパーチの輸出が盛んな事に目をつけたのは武器商人たち。彼らにとっては戦争や内乱ほど「おいしい」ことはないのです。そして、生きるために、より良い暮らしをするために兵士になりたい、だからと言って「戦争」を待ち望んでいる人たちがいるということ。それほどまでに「普通の暮らし」からは遠い暮らしをしている人たちがいると言う事。
何も知らずにアフリカ産の白身の魚を食べる日本人であるわたしたち。見終えたあとには深い虚無感が・・・。

いつも思うけど、あそこで目を潰されながらアンモニアとウジの中で生計を立ててる女の人は、ひょっとしたら自分だったかもしれない。他の子供たちと一握りのゴハンを奪い合いながら、夜はシンナーやタバコをすって何もかも忘れて眠ろうとする子どもは、わたしの子どもだったのかも知れない。
その違いはスレスレだったかも知れない。
そう思うと、この日本で安穏に生きられる幸福をもっと真摯に受け止めないといけないなぁと痛感させられます。自分が恥ずかしい。

★★★★
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