でっちあげ/福田ますみ

4103036710でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相
福田 ますみ
新潮社 2007-01-17

by G-Tools


うーん・・・!怖い!!
こんな親、もしも自分の子どもの学校にいたら、わたしたちどうすれば良いんだろう??なんて考えながら一気に読んでしまった。非常に恐ろしく、そして興味深い一冊でした。
「でっちあげ」によって、あれよあれよと言う間に坂道をどこまでも転落して行く、と言うより転落させられてしまったひとりの気の毒な教師の姿に、ただただ唖然、呆然そして慄然。
しかし、この教師、最初のニュースでは「気の毒」とは正反対の扱い。「殺人教師」として報道されているのです。
このサブタイトルに含まれる「殺人教師」という言葉から、まるで教師が子どもを殺したかのような印象を受けたのだけど、この事件では誰も死んだり怪我をしたりしていません。刑事事件じゃないのです。これは2003年6月に日本で初めてとなる「教師による児童へのいじめ」として世間を騒がせた事件の顛末です。

教師自身は児童をいじめた事もなく、体罰を加えた記憶もなく、「血が穢れている(児童には外国人の尊属がいるということで)」として言葉によっていじめた記憶もなく、要はまったく身に覚えのないことで、謝罪させられ、担任をはずされ、6ヶ月の免停になり、挙句最後は裁判で訴えられてしまいます。
ここに登場する、件の「児童の親」の「クレーマー」ぶりが凄い!!不気味なのです。そして、事を荒立てたくないというだけで、親の言うがままになってしまい、教師を信じないで「認めちゃえ、謝っちゃえ!」という感じの校長たち。謝ってしまう教師の自己主張のなさにも呆れるのですが、しかし今の学校では、教師よりも保護者が強い、と言う立場関係が浮き彫りになり、そのこと自体にすごくショックを受けました。自分はどうだろう、先生に対してどうだろう、と我が身に置き換えて考えずにいられず。また同時に、自分がこの教師の立場だったら?やはり同じように忸怩たる気持ちを殺して、心にもない謝罪をするかも知れません。
そしてマトモに取材もせずに一方的な記事を書いたメディアたち。本書は記者の実名入りで、告発とも思えるような厳しさでそのメディアである「週刊文春」「朝日新聞西日本社版」を糾弾していますが、読めば読むほど各社の報道姿勢には疑問が沸きまくり。「取材」あっての「記事」ではないのか、記者がそんな風ならこっちは一体何を信じればいいの??素人にだって分かる事を、彼らはしてない------たとえば、「浅川くんの親って、どんな人?」と同級生の親何人かに聞くだけでも良かったのでは。------これって記者の怠慢では・・・?
結論を言うと、親クレーマーの言い分の殆どは裁判では通らなかったようだけど、彼らの「嘘」が暴かれていく裁判の様子は目が離せず。あまりにもお粗末な嘘なのに、嘘が暴かれると言う事を全然心配していない様子の彼らが本当に不気味でした。
だいたい「でっちあげ」というタイトルがインパクトありましょう。いかにも安っぽいイメージの言葉だと思うんだけど・・・たとえば、『捏造』とか『虚偽』とか・・・語彙が貧困なのでパッと出てこないけど、ほかの言葉でもうちょっと体裁の良さそうな言葉はあるんだろうけれど、あえて『でっちあげ』としたところに著者の意図があると思う。
しかし、教師も被害者だけど、教室の子どもたちがかわいそう。件の男子児童にしても、子どもたちをここまで巻き込んだ一連の「加害者」は罪が重いと思います。

と色々思ったり書いたりしながら、この本もまたひょっとして全面的には信用できないのかなぁ・・・と皮肉な事に考えてしまうのでした。
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14:10 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(8)
最近の親の、信じられないようなクレーマーぶりを、先日、新聞で読みました。
私も他人のことはとやかく言えないけれど、給食費未払いのことといい、自分さえよければという考えの人種が増えているのは確かですね。

報道ってほんとに怖い。
しまいには、この本でさえも疑いたくなる気持ち、ちょっと判る気がしました。

2007/06/27(水) 16:14:14 | くまま │ URL | [編集]

へえー。とんでもない先生だと思ってた記憶の片隅にあるあの事件に、報道とは異なる真実があったんですか。
1度そうやって報道されると、「実は違うんです」という報道はもうされないので、とても無責任ですね。残酷です。

長男が3年生の時に一緒だった担任が、やはりクレーマーな母に糾弾されていました。
そのお母さんは、自分の子は弱くていじめられていると思い込んでいて(実際はかなりのお転婆さんだった)、校長に言っても真剣に取り合ってもらえなかったため、教育委員会に直談判に行ってました。
そのパワーに唖然としました。
いい先生でしたが、1年後に辞められました。
親と子の繋がり方が間違ってる気がしました。

2007/06/28(木) 07:02:07 | ブラッド │ URL | [編集]

おはよーご無沙汰です^^。
早速メモしました。
こういう事件って報道のあり方みたいなものがいつもついて回るよね。
ノンフィクションものは疎いのでshortさんのレビューに全面的に頼っています。
今後ともヨロシクね。

2007/06/28(木) 07:23:41 | ユミ │ URL | [編集]

>くまま♪
どうやってわたしたちは報道の嘘と真実を見抜けばいいんでしょうね。
この話は、何もかもが教師にとって悪いほうへ悪いほうへと行ってしまった、水が流れる様にです。
弁護団、500人もいたらしいんですよ。なんちゅう体たらく、としか思えませんでした。
最近の親の給食費未払いに始まる、無軌道ぶり、子どもの目にはどう映っているのでしょうね。。。。


>ブラッドさん♪
ブラッドさん、報道を覚えてらしたのね。わたしはあんまり覚えてないのです(^^ゞ
報道を鵜呑みにしてはいけないなぁとつくづく思うけど、何もかも疑って行けと言うのかと言われたら、そんなこと出来ないですよね。基本的に人間って、信じるほうに傾くのでは。そう考えると、この親に振り回された人たちの弁護になってしまうかな。
ブラッドさんの学校にもいたのですね~そういう人。この本の件の児童も、すっごくヤンチャだったみたい。教育委員会に直談判する所なんかも似ています!!
親は子どもにとって一番何が大事なのか、しっかり考える頭が欲しいですね。


>ユミさん♪
事件を端的に言えば、一組のバ●親に、学校、教育委員会、弁護士たち(500人ね)はては市や県まで振り回されたと言う「そんなアホな!!」みたいなお粗末な話です。だれも真実を見抜けなかったのかというのがすごくお粗末。
気の毒・・・と言いながら、こう言うのを選んで読んじゃうんだよねぇ。
性格?(笑)
こちらこそ、よろしくです(^^ゞ

2007/06/28(木) 11:18:15 | short │ URL | [編集]

「でっちあげ」まさしくこのタイトルがしっくりきますね。
私もそのニュース覚えてます。だけど、その後の報道なんてなかった?ので、そのまま「とんでもない教師ね」と思ったままでした。
これ読んでみます。でも腸煮えくり返って苦しくなるかも。

こういう本が出されたことによって、そのクレーマー親子はなにも言わないんですか?
大体問題のある子の親に限って、自分の子どもは常におとなしい、被害者、いい子って思いこんでるんですよね。

2007/07/13(金) 17:40:22 | じゃじゃまま │ URL | [編集]

じゃじゃままさん♪
だいたい、ニュースを疑ってかかると言う事は普通はないですよね。
でも、今疑うって必要なのかも知れません。何が本当で何が違うのか、見る側が選ばなくてはならないのかもしれません。
この本を読んでから一切のニュースが信じられなくなって困ります(笑)
「ドキュメンタリーは嘘をつく」と言う本も読んだ所なのですが、素直に信じることはやめたほうが良いみたい。
裁判は今も継続中なのかな。
http://www.shinchosha.co.jp/book/303671/?select=free
今月ついに児童本人の証人喚問があるみたい。
気になるところですね。
じゃじゃままさんも良かったらはらわた煮えくり返しながら読んでみて!

2007/07/14(土) 10:58:51 | short │ URL | [編集]

只今…半分くらい。
何コレ?
ありえない<`ヘ´>
後半もっとすごくなるの~?

2007/07/27(金) 11:38:19 | ユミ │ URL | [編集]

すごいでしょ~~
ありえんでしょ~~
モンスターペアレンツ!!
まぁともかく読んでみてね!
腹立ちごもっともですが(笑)
後半はどっちかというと
良くなるのじゃないかな。

2007/07/27(金) 23:00:09 | short │ URL | [編集]

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