善き人のためのソナタ

B000PWQS3G善き人のためのソナタ スタンダード・エディション
ウルリッヒ・ミューエ フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク セバスチャン・コッホ
ビデオメーカー 2007-08-03

by G-Tools

監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演 ウルリッヒ・ミューエ 、マルティナ・ゲデック 、セバスチャン・コッホ 、ウルリッヒ・トゥクール 、トマス・ティーマ 、ハンス=ウーヴェ・バウアー


素晴らしい映画を見ました。
アカデミーの外国語映画賞など受賞しています。前から評判を聞いてて、どうしても劇場で見たくて上映最後の今日、近くのシネコンではない隣の市の映画館に、わざわざ40分クルマを走らせて行きました。意気込みのほど感じてください(笑)。なんせヤフーの映画で今、★の数の多い映画ランク1位なのです。(2位は「ロッキー ザ ファイナル」だ!やったー!)

さて、1984年、東西ドイツが統合する前の東ドイツが舞台。
ある男の事情聴取というか尋問の場面から物語がスタート。その模様を録音したテープを学生たちに聞かせながら国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は「反体制の人間が国家に背く罪を犯した場合」の落とし方を諄々と説いています。40時間眠らせないで尋問する、と言う方法を得々と披露したりして。「それはあまりにも非人道的では?」と異議を唱える学生がいようものなら、席次表にチェック入れているという徹底的な国家人間。
この、ドップリ東側人間の主人公が、自由思想の舞台監督のドライマンから、反体制思想の持ち主である証拠を掴もうと、24時間体勢で盗聴つきで監視する事になります。そして主人公が盗聴から知ってゆくドライマンの生活とは…。

思想統制の中で自由を求める事の困難さを舞台作家ドライマンを通じて、まざまざと見せ付けられます。このドライマンの体制に反してゆこうとする態度が、男っぽくて魅力的です。その中で誰が裏切るのか、誰が守ってくれるのか…、皮肉な成り行きや意外な展開が続きます。タイトルの「善き人のためのソナタ」はベートーベンの曲のタイトル。これはスターリンに「この曲を真剣に聞いたものは、悪人になれない」と言わしめた名曲。その曲がもたらしたものはなんだったのか、最後には大きな感動があります。是非ともご覧下さい。(ここから先はネタバレになりますので、映画を見たい人は読まないで!)


やっぱり一番印象に残るのは壁の崩壊後のものがたり。自由が手に入ったと言うのに、それまで迫害され続けてきたドライマンが、そこから作品を一つも上梓できないという皮肉。恋人の裏切りと死がもたらしたショックが大きかったのだろうと思うけれど、大きな「敵」がなくなり放心してしまったと言うのもあるだろう。それが再び書けるようになったいきさつが感動モノなんです。
また自由を手に入れたドライマンとは逆に、不遇に耐える主人公の姿が涙を誘います。報われないのがあまりにも哀れで切ない。
ドライマンが彼を見つけて、でも声をかけないのがいい。結局ドライマンの感謝の気持ちを伝える手段は…。

是非ともご覧になっていただきたい名作です。

もっと大きな問題は、その輸送に使われる飛行機にあります。ナイルパーチの輸出が盛んな事に目をつけたのは武器商人たち。彼らにとっては戦争や内乱ほど「おいしい」ことはないのです。そして、生きるために、より良い暮らしをするために兵士になりたい、だからと言って「戦争」を待ち望んでいる人たちがいるということ。それほどまでに「普通の暮らし」からは遠い暮らしをしている人たちがいると言う事。
何も知らずにアフリカ産の白身の魚を食べる日本人であるわたしたち。見終えたあとには深い虚無感が・・・。

いつも思うけど、あそこで目を潰されながらアンモニアとウジの中で生計を立ててる女の人は、ひょっとしたら自分だったかもしれない。他の子供たちと一握りのゴハンを奪い合いながら、夜はシンナーやタバコをすって何もかも忘れて眠ろうとする子どもは、わたしの子どもだったのかも知れない。
その違いはスレスレだったかも知れない。
そう思うと、この日本で安穏に生きられる幸福をもっと真摯に受け止めないといけないなぁと痛感させられます。自分が恥ずかしい。

★★★★★

B000PWQS3Q善き人のためのソナタ グランド・エディション【初回限定生産】
ウルリッヒ・ミューエ フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク セバスチャン・コッホ
ビデオメーカー 2007-08-03

by G-Tools

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