ダブル/永井するみ

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永井 するみ
双葉社 2006-09

by G-Tools


ほんの数行の小さな新聞記事になっただけの、とある交通死亡事故。
一人の女はその記事を切り抜き、いやな事があるたびに取り出して読み、ほくそ笑むように満足しストレス解消をする妊娠初期の主婦。
片方の女は、その記事の被害者が誰かに押されたように車道に飛び出したと言う証言があることから、他殺の線もあるとの警察の姿勢に目をつけ、記事にならないかと粘る雑誌記者。
やがてまた起きるサラリーマンの事故死を通じて二人の女は交錯し、そしてほのかな友情さえ芽生えるように・・・。
交通事故で死んだ女は他殺か事故か。サラリーマンは。
自己顕示欲の塊の雑誌記者と、自分の価値観の中でのみ物事を捉える同じ年の二人の女が出会ったとき・・・。


前半、主人公の多恵(雑誌記者)に対して嫌気が差していた。
彼女があまりに強引だし、事故死した女性「いずる」に対して凝り固まった固定観念で判断しているし、自己顕示欲は強すぎるし、ちょうど多恵の彼氏と同じように彼女に対して感じていた。
そのうえ、多恵が乃々香に出会うまでの偶然に偶然が重なる話の流れにご都合主義が強すぎるような感じがして、イマイチ面白く感じなかったのだけど、ふたりの主人公が交錯し、出会ってからの後半の展開はかなり面白かった。
各方面に取材し、いずるの彼氏の佐藤にインタビューを重ねていくうちにだんだんといずるにたいする先入観や固定観念が溶けて行く。と、同時に彼女自身の自己顕示欲や強引な突込みがなくなって、彼女に好感が持てるようになっていくのだ。
そして、多恵と乃々香の対峙が読ませる。ただ敵対心だけがあるのではなく、うっすら芽生える友情らしき感情が展開をよけいに見えなくしていて面白い。
ラストはわたしには、例によって予想がつかなかったので驚かされたが、驚くと同時にあり得なさも感じてちょっとげんなりしたかな。
しかし、二人の主人公の女たち、どちらも物語の初めと終わりとでは印象が全然違います。多恵の変化は気持ちよく、今後を応援したい気持ちになるような前向きな終わり方が心地よかった。
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20:22 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

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