夏草の賦/司馬遼太郎

4167663198夏草の賦 [新装版] 上
司馬 遼太郎
文藝春秋 2005-09-02

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4167663201夏草の賦 [新装版] 下
司馬 遼太郎
文藝春秋 2005-09-02

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戦国期の長曾我部元親の一生を描いた作品です。
四国の土佐に生まれた元親は、信長がやがては天下を取るのでは、といち早く気付いた堺商人宍喰屋の言葉から、織田家に近い所と姻戚関係になりたいと考えた。それで織田家の侍である斉藤内蔵介の妹、菜々をはるばる遠方から娶る。
当時土佐は鬼国と呼ばれ、同じ人間の住むところではないぐらいに考えられていたようだ。しかし、菜々は二つ返事でOK。進んで土佐に行くのだった。

物語はその菜々が元親のもとに嫁いだ時から始まります。
野望に燃えて破竹の進撃を続け、土佐から四国全土を手中に収めかけ、天下を夢に見た元親が信長や秀吉の前に夢破れその生涯を終えるまでを描いてあるのです。

読むと天下を取るような人物ではないのに、天下を夢に見て信長や秀吉に翻弄された哀れな武将…というイメージ。前半の生き生きとした常勝武将のイメージから一転して急落する後半は同情してしまって泣けた。
元親がはじめて京に上ったときの話など、(あまりの文化の違いにビビってしまう)滑稽過ぎて悲しかった。わたし自身が田舎モノだから「田舎モノで悪いか!!」と元親に激しく同情してしまった。
今とは違い情報伝達の行き届かないこの時代なのだから仕方がないのだけど、土佐の文化のお粗末さに打ちのめされるような主人公が本当に哀れ。
天下を取るには東海道筋に生まれていないと駄目だと嘆く主人公の心情や、他の土地と比べた土佐の独特の風土に育まれた武士の気性、やがて幕末の中心となる藩士たちを生み出す原点がここに描かれており、いちいち興味深く読んだ。

一番最後の島津戦のくだりなどは、涙なくしては読めない。なんでも史上まれに見る激戦だったそうで、その壮絶さに驚いた。そして味方であるはずの仙石権兵衛の大バカ野郎よりも、敵であるはずの島津家の家老、新納武蔵守忠元の礼節に大感動。

なにかが切れてしまい、情熱を失った元親の晩年はただただ哀れとしか思えず、本を閉じる時は感慨に浸ってしまった。
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2010/01/04(月) 12:18:36 | - │ | [編集]

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