FC2ブログ

魂萌え !/桐野 夏生

4620106909魂萌え !
桐野 夏生
毎日新聞社 2005-04-21

by G-Tools


59歳関口敏子さん。63歳の夫に唐突に先立たれ、途方に暮れる主人公。
子どもたちとの遺産をめぐる小競り合いなど、ゆっくり夫の師に向き合う暇もなかった彼女を襲った衝撃は・・・。

桐野さん、わたしには「OUT」が一番印象的です。あの時も何が一番インパクトがあったかというと、主人公ではなく「師匠」の家庭環境の描き方の巧みさ。介護に疲れながらも弁当屋さんで働く師匠、なのに娘は親の苦労など省みずお金をせびってゆく・・・。あの家庭の匂いまでが漂うような描写にはひきつけられたものです。
今回も瑞々しくリアルにすべての事が描かれていて、ものすごく面白かった。まるで自分の数年後をシミュレーションしているような臨場感と迫力があった。
「夫の秘密」が発覚し心惑い悩み悶える主人公が「心を捨ててしまいたい」と思う様などは、物凄く表現が上手くドキッとしますね。
主人公があまりにも世間知らずでおっとりしていて、いまどきそれはないのではないかと言う気持ちもあったけれど、銀行のATMなどで行員に馬鹿にされるような態度をとられて苛立ったり、ケータイを持つ時に受話音量を大きめに設定するとか、友達にアルツの疑いがわいてきたりとか。。。ひとつひとつの「トシ」を感じさせる小さな設定に、本当に身につまされる気がした。
子どもたちとの遺産をめぐるいざこざや、夫の相手との対峙などもすごく読み応えがあり久しぶりに一気読みさせられた。



↓ ネタバレで辛口

ただ、思うのだけど、彼女の恋愛体質と言うか依存的な感じのところがあまり好きではなかったかな。カプセルホテルの野田や、そばグループの(ソバリエって言うのですってね、知りませんでした)塚本など、よろめきが多すぎると思ったし、塚本との関係は安易過ぎると思った。自分が、夫の不倫に苦しめられたのに、なぜ同じコトをしようと思うのだろうか?その気持ちがまったく分からなかったな。今後の「再生計画」の中に「塚本との不倫」が入ってるような感じだったけど、その感覚はちょっと受け付けません。自分も彼女と同じ立場だったら、そういう感じになるんかな?
スポンサーサイト



22:01 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(2)
私は桐野さんは「柔らかな頬」でしたっけ??あれが一番印象的で、しかも消化不良で、忘れられません。(苦笑)

この作品は、結局夫が生きていたら、どっちを取るんだ!と聞いてみたいです。っていうか、どうするつもりだったんだろうな~、とすごく気になります。(笑)

2007/04/10(火) 17:09:48 | じゃじゃまま │ URL | [編集]

じゃじゃままさん、ここでも同意!!わたしも「柔らかな頬」のラストには憤りさえ覚えました。桐野さんの狙い通りなんだろうけど、このラストはないんじゃない?ってね(笑)わたしにとって、桐野サンって「前半の人」なんです。前半のスピード感とか吸引力ってすごい!でも、後半落ちることが多いなぁ。この「魂萌え!」もそうでした。ともかく、主人公が安易に不倫に走るのには呆れてものが言えませんでした。
あ、でも今朝ワイドショーで紹介されていましたよ。アメリカで一番売れてる日本人作家は彼女なんですって!!それはそれで誇らしいです(笑)

2007/04/11(水) 10:08:51 | short │ URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL