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少年にわが子を殺された親たち/黒沼 克史

4794209134少年にわが子を殺された親たち
黒沼 克史
草思社 1999-10

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1999年に発行された本。先日「中学生に薦めたい本」と言うコンセプトのくくりの中にこの本が入っていたので、読むことにした。


確かに情報としては古い。この本が発行された後も少年たちによる残酷な事件は後を絶ちません。でも、少年犯罪の被害者たちの心情に新しいも古いもない。何年たっても癒される事のない苦しみの中でもがくように生きている人々の姿がここにあります。

突然に愛する子どもを失った親御さんたちの慟哭が聞こえるようで、こちらも泣けてきます。本当にむごい事が許されているのです。


1992年、9人の少年に激しい暴行を受けて死亡した田本任(たもとまこと)君の親御さんである田本氏を発端に(言うまでもなく少年犯罪被害者は、田本さんが一番最初ではないのです。それ以前からあったのです)著者は長い時間をかけて丁寧に6つの被害者に接触し取材し、彼らが「少年犯罪被害者の会」を立ち上げるまでを本書にまとめた。

少年法の理不尽さ、謝罪をしない、賠償責任を果たさない、果ての無い民事裁判にかかる労力と莫大な費用(しかし、民事裁判を起こさないと子どもが死んだ時の状況すら知らされないのです)・・・などなど、遺族の苦しみは子どもを亡くしたことだけにとどまらず、ありとあらゆる事に巻き込まれてしまう。はっきり言えば「殺され損」で加害者側は「ごね得」みたいな感じ。全部が全部そうだとは言わないけれど、そういうケースが圧倒的に多いことに愕然とします。

中でもわたしが強烈に印象に残ったのは、ひとりの加害者(13歳。夏休みの初日に近所の子どもをわざと溺れさせた)が2学期にはごく普通に中学に通っている。そこには被害者の姉が通っているのです。被害者の姉は加害者の教室を覗きに行く。すると加害者のクラスメートたちに物を投げられたりするのです。加害者は転居して校区が変わったにもかかわらず、頑なに中学の転校をしない。代わりに姉のほうが中学に行かない不登校になったと言う事。そのひとつの事例をとっても理不尽さを痛感できるのでは。

一貫して彼らが訴えるのは、少年の「更生」は大事な事だ。しかし、今の法は「権利」ばかりを振りかざし本当に大切な「謝罪」「贖罪」と言う事を置き去りにしている。法に守られているように見えても、こんな社会の中で育つ少年たちが幸せには思えない。と。

人を殺してはいけない、悪い事をしたらまず謝って、罪の意識をきちんと持って、それから真っ当な人間になろうと努力する・・・そんな当たり前の意識が、子どもを育てる親からして欠如しているようなのだ。

犯罪被害者当事者の会のホームページがこちらにあります。
本書発行から8年過ぎても少年法はなんら変わることなく、少年判事の被害者の人数と加害者の人数が膨れ上がっているようです。

そして、残念な事に2005年にこの著者の黒川氏が他界。

こう言うルポが好きで何冊か読んできていますが、この本は群をぬいてすばらしいと思う。順を追って迫っていくわかりやすさ、混乱する被害者の気持ちを読者に分かりやすく伝える明瞭な文章、そして何よりも丁寧な取材とジャーナリストとしての使命とポリシーと情熱が伝わるのです。

早すぎる著者の死が残念です。ぜひとも本書の続きを書いて欲しかった。
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18:31 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(3)
こういう話は、事実だけに知りたくない!と思ってしまうんです。知ってしまうと怒りで心臓がバクバクしてしまうからです。それでも遺族の方たちの思いとはほど遠い場所なんですよね。知ったような口はきけませんが。
以前犯罪被害者の会のボランティアをしていたことがあって、被害者の方たちの無念さは察することができるのですが、加害者への怒りは増幅する一方です。
少年法は加害者を守ることで、その行為に酔いしれてる偽善者、だと私は思っています。

それにしても、悪いことは悪い、と教えない親に限って、指摘されると「過保護だ」「子どもはもっともまれて逞しく」というんですよ。
やられるという、被害者の心を想像できないから言うんですよね。
善悪をきちんと教えてる上での「子供同士もまれて」なら分かるのですが、教えてもないのに、被害者が騒ぐと「こんなことくらいで」と言うから、子どもも加減を知らなくなるんだと、私は思っています。

↑我が子ではないですけど、だいたいそんな親御さんが多いので。熱くなってすみません。

2007/02/23(金) 11:17:36 | じゃじゃまま │ URL | [編集]

じゃじゃままさん、いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます
ボランティアをやっていらっしゃったのですね。頭が下がります。すると間近でこう言う方たちと触れ合っていらっしゃって、この本を読んだだけでもグツグツと腹のそこが煮えるような気がするのに、じゃじゃままさんのご心境お察ししようとするのですけど。
被害者も加害者も数が増え続け、この紹介させていただいたHPの活動に参加されているかただけでも、その加害者は150人以上。親はその倍。なのに、本当に保護者としての罪を痛感しているのは、300人中たった一人だけだとか。
ほんとに、驚きました。
にほんの将来が心配不安ですね・・・。

2007/02/24(土) 07:13:59 | short │ URL | [編集]

犯罪を生かす人たちの多くが、注意欠陥障害や知的に問題があったり親も暴力的で会ったりします「それを見過ごしてきた文科省に責任を感じてほしい。

2009/04/23(木) 13:19:00 | 浦田 │ URL | [編集]

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