東京ダモイ /鏑木 蓮

4062135604東京ダモイ
鏑木 蓮
講談社 2006-08-10

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2006年第52回の乱歩賞受賞作品です。

自費出版の会社「薫風堂出版」に勤め始めて間がない主人公の槙野は、シベリア強制連行による捕虜体験を句集として出版したいという高津の担当となった。
しかし、話をつめる段階で高津が謎の失踪。
残されていたのは、高津の原稿と舞鶴で起きたロシア人女性の殺人事件の新聞記事だった。
高津の手記とロシア人女性の殺人事件の関連は?
そして、高津はどこに行ったのか。
まったく覇気が感じられないいまどきの若者代表の槙野が、ずるずると事件にのめりこんでゆくその先にある真実は。


まず、面白かったかどうかと言うと、ちょっと事件の設定に無理があったような気がしました。
戦争中に起きたことが、現代の事件のきっかけになるというと、ついつい「人間の証明」などを思い出したのですが、事件と戦争の絡め方なんかは森村氏のほうが上手かなと・・・。
でも、シベリアの捕虜体験がこの小説のもとになっており、高津の思い出として、そして手記の中でも体験談として明らかにされるのですが、その部分は文句なく釣り込まれます。今まであまり知らなかった事なので、ともかく瞠目する感じで読みました。もっとこの部分を読みたいと思いました。

そして、登場人物に関して言えば、主人公の槙野がまったくやる気が感じられない、要するにヘタレな感じで描かれているのですが、逆に上司の女性や妹たちは元気。そして釣られるように槙野もだんだんと骨太になってゆくようでよかったのだけど、作品中ではものすごく成長したと言う感じがしないのが残念。男の成長する物語は好きなので、もうちょっとしっかりしてほしかったなと。
この情けない兄に強気の妹、と言う図式は最近の恐ろしい事件を思い出してしまいましたよ。
しかし、戦争直後の高津たちの人物設定はとてもよかった。惹かれるものがありました。

こないだ、小説現代で短編を発表していて、それがかなりよかったのです。タイトルは忘れてしまった・・・。叙情あふれるミステリーって言う感じで。なので、今後はまた追っかけて読んで行きたいなと思っています。

16:45 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

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