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グロテスク/桐野夏生

4163219501グロテスク
桐野 夏生
文藝春秋 2003-06-27

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今さら説明の必要もないと思うけれど、実際に起きた「東電OL殺人事件」を下敷きに作られた小説のようです。
読むまでは、殺された被害者を主人公にした物語なのかと思っていたけど、実は、殺されたのはOLの彼女(本書では佐藤和恵と言う名前で登場)と、もう一人ユリエという女性の二人です。
そして本書の主人公は、そのユリエの姉。姉(名前が出てない?)の視点から一人称語りで、ユリエとの姉妹としての生い立ち、Q学園での佐藤和恵との出会い、そして事件が起きて現在までを描き、その合間にユリエの日記や、殺人犯の中国青年チャンの告白、和恵の手記などが挿入されていて事件の全容に迫ると言う形です。

あまりにも生々しいというか、実際の事件をここまでリアルに描いた「小説」も類を見ないのでは?
被害者の遺族、特にお母さんの気持ちを思うと、ここまで細部にわたって、たとえ小説とは言えフィクションとは言え、すべてを白日の下にさらしても良いんだろうか?と、、、
まぁ、「読んでおいてそれは無いだろう」と言う感じでしょうけど、しかし読みながらそう思わずにいられませんでした。

今日図書館へ行ったので、佐野眞一氏の「東電OL殺人事件」も立ち読みしてきたのだけど、前書きの部分に殺された被害者のお母さんの手紙と言うか文章が掲載されていて胸がつまりました。

ひとりの女性の心の闇と言うよりは、本当に孤独で寂しい人生を描いた小説と言う事ではものすごく心に残りますが、好きなタイプの小説ではなかったかな。本書の中で一番「小説らしい部分」はチャンの「私のやった悪いこと」と言う章ではないでしょうか。そのほかはすべて物凄く生々しかった。
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