新潮45 その時、殺しの手が動く

4101239150その時、殺しの手が動く―引き寄せた災、必然の9事件
「新潮45」編集部
新潮社 2003-05

by G-Tools



実際に起きた事件のルポ。これは「新潮45」シリーズ第3弾です。
テレビや新聞をにぎわしたニュースを、検証して背景を探るというもの。
相変わらず凄惨でおぞましい事件の数々が浮き彫りにされ、人間の愚かしさを伝えています。

が、今日は、愚かしさの中に歴然と存在する人としての美点、というかホッとできるエピソードをご紹介したいです。

背景となる事件は、2000年の8月に大分県で起きた殺人事件。
民家に15歳の少年が押し入り、寝静まった一家6人を次々とサバイバルナイフで襲った。結果、死者3名、残る3名も重症を負う。
少年はその家の主(65歳)と釣り仲間だった。
少年の周囲で、ポルノ漫画を撒き散らしたり下着泥棒が頻発していて、村の住民たちから疑われていた。
被害者の家では、少年と同じ年頃の少女がいて、彼女が覗きの対象であったらしく風呂場を覗かれたり下着を盗まれたりした。
そのことを、一家の主が注意したところ逆恨みをして犯行に及んだようなのだ。
少年が育て来た背景なども書かれていてそれも興味深いけれど、ここでは割愛。

さて、亡くなったご家族はその少女から見て、おばあさん、おかあさん、弟の3人。
覗かれていた少女は一命を取り留めたけど、ナイフの傷が神経に達していて下半身が不自由になってしまう。そして、亡くなった弟のほかにももう一人弟がいて、この弟もナイフで胸を刺されたが幸い心臓部を外れ、長時間の手術の後に命を取り留める。でも、重いトラウマを抱えることに。
もう一人命を取り留めた、おじいさんはナイフの先が脳に達したために今も寝たきりの状態らしい。


実はこの少女の両親は離婚していて、母親が実家に帰って祖父母と暮らしていたらしい。
で、こう言う事件にあって別れたお父さんが現場に急行。その現場を見て激しく後悔されたという。
自分の娘と息子を引き取りたいと思うのだけど、今現在の家族への遠慮からなかなか言い出せずにおられたようだ。
でも、そこで、今の奥さんが「お父さんが引き取らんでどうするん」と切り出された。そして、お父さんから見れば連れ子にあたる今の子どもさんたちの励ましもあり、娘さんと息子さんを引き取られたそうだ。
被害者の少女は、車椅子で高校大学に進学、それを仕事をやめた今の奥さんが送り迎えしておられるという。
まだ車椅子の生活は続いてるだろうし、被害に遭われたことは本当に言葉も出ないぐらい気の毒なことだけど、お父さんやお父さんの新しい奥さん、そのお子さんたち、そう言うすばらしい人がこの世には確かにいらっしゃるのだと思うと、酷い事件の数々の中に一筋の光が見えるような気がして、救われるような気がするのです。



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