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【本】コンビニ人間/村田 沙耶香


コンビニ人間 (文春文庫) [ 村田 沙耶香 ]

2年前に芥川賞を受賞した『コンビニ人間』を読みました。
芥川賞って私は苦手な小説が多かったので、だいたいスルーしていましたが、おススメがありましたので読んでみましたが、芥川賞の割には(と言うと失礼ですが…)とても読みやすい小説で、尺も短いしですぐに読めました。
面白かったです!
(以下は内容に触れています。未読の方はご注意願います)

主人公恵子はどうも、なんらかの発達障害的な問題を抱えているように思われます。
まず、小学生の頃のエピソードで、小鳥の死骸を見て「おいしそう」と思い、食べようと本気で考えるシーンがあります。
普通はその場合、死んだ小鳥の命について哀れに思うものです。
あきらかに普通と違う反応の恵子。
しかし、ここで恵子は、小鳥を埋めて作った小さな墓に、お花を飾る同級生たちに疑問を抱いています。
花の命は可哀想ではないのかと。
恵子から見たら、みんなが花を「殺している」ように見えたのです。
このエピソードは結構衝撃で、大きな問題を突き付けられた気分がしました。
普通ってなんだろう。
いつも普遍的に考えているつもりの、そんな疑問が常に、読んでいる間中浮かんできました。
たしかに私も花を折り墓に手向けたり、生け花として飾ったりします。
あ~私も花を殺しているわ!と。
そのとき、いちいち花の命をいただいていることに思いをはせたりしませんので…。ご飯を食べるときは「いただきます」と言いますけれども、花を折るとき「いただきます」とは言いません。(きっとお花を好きな方はそう思いながら摘んでいると思いますが)
生きとし生けるすべての命は平等で尊い、と口では唱えていても実際には思ってないと、今更気付かされた感じ(^^;
主人公は自分のその考えや生き方が、家族をも困惑させ心配をかけるので、一生懸命社会に溶け込むように努力しています。
その結果がコンビニ店員として働くことでした。
身近にいるひとの物まねをしたりしてなるべく「普通」であろうとする恵子のすがたに、「普通」ってなんだろうと思わされます。
普通じゃなくてもいい、人はみんな違う、違いを認め合う世の中であってほしい、金子みすゞさんの詩にあるように、「みんなちがってみんないい」と、差異を認め合う世の中であるように。
そう願っているつもりでしたが、恵子のように、ひとは「普通」であろうと努力しているよなぁと。
多かれ少なかれ、人は自分が普通であるように、努力している。
ちょっとははみ出して異端の振りをして見ても、それは「普通」の範囲内のことではないか?
その枠を超えてしまうと、「サイコパス」なんて言われてしまうのではないでしょうか。
みんなちがってみんないいと言ってもサイコパスはちょっとねぇ…(^-^;と、思ってしまう自分がいます。
サイコパスと言うほどでもないけれど、かなりの異端児が恵子のほかにも登場します。
他人を蔑み見下しながらも、その人たちほどの甲斐性もない自分を一生懸命正当化しようとする、矛盾を抱えた人物です。
自分の身近にいたら相当うっとうしいキャラですが、読んでいる分にはちょっと面白い人物でした。(かなりイライラさせられるんですけどね)
この人物によって、恵子の一生が決定づけられるのですが、恵子が選んだ(極めた)その生き方は結局周囲からは理解されない「普通ではない」生き方と言えます。
それを認められるか否か。
いや、本来なら、理想で言えば「認める」べきですよね。
でも、恵子は妹の赤ちゃんが泣いているときにも、泣きやませる(静かにさせる)だけならとても簡単だ、と平然と思ったりするのです。それが怖く感じてしまいました。
まさかその方法を実行した結果を、想像できるだけの「分別」は身についているんだろうなと思うんですが(身についていなかった子ども時代はそれで問題を起こしてきました)、そうすると「分別」ってなんだろう…とやっぱり思ってしまい…
自分が恵子の家族なら、本当に恵子の生き方を認められるんだろうか?と思ったり。
短い中でいろいろと問題提起された小説でありました。





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18:31 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(4)
何故か最近になって「コンビニ人間」の書評をあちこちで見かけます。文庫化されたせいかな。
shortさんの書評を見て、ちょっと読んでみようかと言う気になりました。私も芥川賞とは相性が悪いのですが、先日「おらおらでひとりいぐも」を読んで、ちょっと見直したところなので。

普通-異質という軸と、善-悪という軸が有って、本来は無関係なのに何故か普通=善と言う数式が頭の中に出来てしまう。
異質な善(美術的才能)とか悪質な普通(過去の日本の女性差別)もあるのだけど。
そんなところなのかな。

2018/12/03(月) 08:25:41 | Todo23 │ URL | [編集]

にーさま、コメントありがとうございます!
そうなんですねーたぶん文庫化のせい?
私もアマゾン開くと最初のおススメにこの本が入ってくる日が続き、
友人も読みやすいよと言ってくれたので(すぐ読めるよと)
芥川賞っていうので敬遠していたんですけど
ほんとうにすぐに読めました。
面白かったデス~。
『おらおらで…』はその友人はイマイチと言ってましたので保留させいただきますが(^^;
そうか、人は『普通』になることで『善』になろうとしているのかもです。
普通ってでも、人によって違うのだし、万人に同じ普通を求めるのが間違っていると思いますが
たぶん、人は自分の普通という感覚を絶対視してしまい、人にも押し付ける所があるような?
それが無自覚なのではないでしょうか。
恵子の家族は、私(たち)の姿と思いました。
作者の言いたいことがそこにあるのかどうかは違うかもしれませんけど(^^;
私としての感想です。

2018/12/08(土) 18:11:06 | short │ URL | [編集]

このコメントは管理者の承認待ちです

2018/12/22(土) 15:49:44 | - │ | [編集]

にーさま、コメントいただいてて気づかず
お返事遅れました
ブログは拝見していました。
またコメントしますね(*^-^*)

2019/01/14(月) 10:10:59 | short │ URL | [編集]

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