【映】セデック・パレ

セデック・バレ 第一部:太陽旗/第二部:虹の橋【豪華版 3枚組】[Blu-ray]
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1930年、日本の台湾統治時代に起きた、台湾原住民による抗日蜂起事件である霧社事件について描いた映画「セデック・バレ」を見ました。
霧社事件というのは、抗日蜂起の最大規模の事件だそうで、検索すればいくらでも記事が出てきます。凄惨な写真も見たことがあります。戦後世代にとっては想像を絶します。

史実について語るほど知らないので、ここでは単純に映画についての感想を書きます。


映画は、第1部「太陽族」第2部「虹の橋」の2部作です。全部で4時間以上あったかなぁ・・すごく長い映画なのですが、私は長さを感じなかったです。(1部と2部の間に時間を置いたせいもあります(^_^;))

第1部は、台湾原住民が日本の統治下で、どれほど苦渋を強いられて耐えていたか、日本軍の原住民に対する態度の傲慢さや優越的な態度が描かれます。耐えかねた原住民たちが蜂起するまでを描いています。

冒頭の現地人、セデック族の描写には、かなり野蛮さを感じて、正直引いてしまった。
同族人同士の激しい縄張り争い、その末には相手を殺して首を狩る。
首を狩ることが男の誉れであり、セデックとして認められ、顔に墨を入れるのです。
文明の違いはあるにせよ、日本のこともそう感じた先進国もあっただろうけど、こうして他国を見るとやっぱり「野蛮だ・・」と、絶句してしまいます。それも20世紀もなかばの近代だからこそ。

日本人による弾圧的な統治は、やっぱり自分が現地人だったら許しがたいだろうなと思う。
【文明化して「やった」】と言うのは本当に日本人が勝手に思う驕りだと思う。
そこに人間として尊厳を守り、相手の人格や生活・文化を尊重するという大事な一点がないから、現地人たちには屈辱でしかないし、また映画の中でも言ってるように、豊かさの違いを見せ付けて、さらに貶めていることにしかならない。
逆の立場に立てば私だって現地の人たちのように、ひたすらムカつくに違いないと思う。
日本だって、さも相手に文明をもたらしたなんて、恩着せがましいけど、それが自国に有益だからやっただけで、ボランティアじゃないんだし。

と、まぁ映画の中ではだんだんとそんな風に感じられてきます。

そして、蜂起。
これがものすごく凄惨です。
女子どもにも容赦なし。
殺戮の嵐。
壮絶です。

ところが、見ていて私は、それがセデックたちの誇りだと、テロリズムなんだけど、納得してしまうんですよ。
当初、野蛮だとドン引きしていたはずなのに、だんだんとセデックよりの感情が沸き起こってくるんです。
なによりも、マヘボ社の頭領、モーナ・ルダオの迫力たるや鬼気迫るものがあって、完全に圧倒されてしまいました。
日本軍となったマヘボ社のセデック族が「頭がほんとうに怖かった」と言うシーンがあるけど、あんな頭が目の前にいたら、震え上がってしまうに違いないと思いました。

この、モーナルダオの迫力が映画を引っ張ります。

第2部では、日本軍による反撃が描かれます。
セデックに勝ち目はないのですよ。頭領モーナルダオもそれをよくよく承知しているんです。
それでも必死に抵抗してゲリラ戦を繰り広げ、森林を自由に飛びまわり、日本軍(文明のために却って軟弱化してしまっている)を翻弄するさまは、もう爽快としか言えないぐらいで、歴史的にも結果はわかってるのに、セデックが滅びるのを信じられない気持ちでした。
日本軍がセデックたちの神出鬼没さを驚くシーンなども印象的です。文明はなくても彼らの戦闘力や機動力がハンパじゃないと、誇らしくさえ(なんで私が)なってきたのです。

しかし、勝てない日本軍は報奨を出してまで、セデックによるセデック狩りを命じるのです。
安藤政信演じる小島と言う駐在が担当していたタオツア社。
小島は他の日本人とは違い、セデックを尊重して接していたので、恨みを買われてもおらず、この社は蜂起に参加しなかった。だけど、だから今度は、討伐隊に任命されてしまう。
皮肉と言う言葉では表せないです。
小島もそんなためにセデックたちに尊厳を持って接したのではないはずなのに。

もともと、モーナルタオのマヘボとタオツア社は部族がらみで犬猿の仲。
それでも渋々ながらに討伐隊に加わります。
が、そんな彼らをもたじろがせる光景が、彼らを打ちのめす。
それはマヘボ社の男たちの妻たちが、集団で森の中で自決しているのです。

なんのために蜂起したのか。

男たちは、誇りのために死を選んだ。
生きて屈辱にまみれるよりも、誇り高く死ぬことを選んだ。
そして、虹の谷で先祖たちに褒め称えられ迎え入れられるようにと、蜂起を選んだ。
幼い少年までもが、相手の首を狩り、人を殺し、自分の命も投げ出してしまう。

でも、女たちの命は?気持ちは?
命よりも重いものがあるんでしょうか。

死を覚悟の特攻隊。。。
けっして美しいものではないのに・・。

だけど、映画を見ていた私には、ただひたすら、誇り高く死ぬことを選んだセデックたちの姿が輝いて見えた。
普段は戦争反対なんて思ってるんだけど、いざ私が戦争時代に生きていたら、さぞかし軍国少女に育っていたのではないかとすら思えてしまう。




あとで、歴史的事実を知りたいと検索をかけると、周知の事実の中に、この日本軍とセデックの戦いで、蜂起側の死者は600人とも700人とも言われてるようだけど、日本軍の死傷者は20人とか30人とか。
映画はもっと日本軍に壊滅的な死者が出たようなイメージでした。

小島はのちに、タオツァ社を蜂起させ第2の霧社事件を起こしたとも。。

史実がどうなのか、本当のところはどうなのか、私には分からないし、たぶんそれを知るすべもないと思う。
どこかに詳しく書かれていることが「真実」だと、どうして断言できましょう。
真実なんて、誰にも分からないものなのかもしれませんよ。

思うことは色々あったけれど、エンタメ作品としてはかなりの迫力で面白かったと、モーナルダオの姿に感動したと、忌憚のない意見を書いておきたいと思います。

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12:47 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

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