【本】テティスの逆鱗/唯川 恵

4163297308テティスの逆鱗
唯川 恵
文藝春秋 2010-11

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美容整形をめぐる5~6人の女の物語。

中年女優の條子、キャバ嬢の莉子、普通の主婦である多岐恵、そして社長令嬢の涼香、彼女たちが通いつめる高級美容外科医の晶世・・と受付の秋美。それぞれの視点で繰り広げられる群像劇タイプの物語。
彼女たちは個々の立場と理由で、美に執着するんだけど、それがもう、凄まじい。最初から「よくやるよ」と思っていたけど、だんだんとエスカレートして、最後はもう唖然呆然とするばかり。
背筋がヒヤッとする狂気が含まれていて、読み物としては大変面白く、目が離せなかった。

世間的には、アンチエイジングと言う言葉がもてはやされ、美魔女なんていう人々もいて、とにかく「年をとる」ことにものすごく抵抗感がある。普通に年をとることが、まるで罪であるかのような・・・そんな風潮だと思う。
そこにはおそらく、美味しいビジネスが介在するんだろうとも思うけど、分かっていても、どうしても、踊らされてしまう自分がいる。
やっぱり老けてるよりは若く見られたいし、汚いおばさんになるよりは小奇麗なおばさんのほうがいい。そう見られたいという欲があるのだ。。。
しかし、見た目は関係なくしても、若く溌剌としているほうが、人生は楽しいことが多いと思う。だからアンチエイジングを悪いとは言わないけど、やっぱり程度ってものがあるよね・・。
ひとつを得ても、そのうちひとつじゃ物足りなくて、欲しいものはふたつになりみっつになり、いつまでも延々と求め続けなければならない。それが人間だということなのかもしれないけど。
幸せを求めているはずなのに、求めすぎることは逆に自分を不幸にする。

人間の領域を踏み越えてしまうと、神の逆鱗に触れてしまうという寓話的物語。
とても恐ろしくて一気に読んだ。

この前に同じく唯川さんの「途方もなく霧は流れる」と言う本を読んだ。その前の「手のひらの砂漠」が面白かったので、久しぶりに追いかけたくなったから。でも、イマイチ印象に残っていない(^_^;)
「手のひらの砂漠」と「テティスの逆鱗」は好みでありました。


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