【本】復讐/タナダユキ

4103338318復讐
タナダ ユキ
新潮社 2013-04-22

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内容(「BOOK」データベースより)
北九州の小さな町に赴任した若き中学校教師・舞子は、始業式の朝、暗い目の少年に出会う。教室で明るく優等生として振舞う彼には、ある忌まわしい記憶があった。その過去に呼応するように、置いて来たはずの秘密が少しずつあらわになっていく。人間の闇をえぐりだす緊迫サスペンス長編。


読み応えがあった。
加害者の家族、被害者の家族・・ふたつの立場にリアルに寄り添っていたように感じた。
先日読んだ「北斗」(石田衣良)では、加害者本人の気持ちが描かれていた。全然違う物語なのだけど、自分の中では関連を感じ、思い出しながら読んだ。私も知っている過去に少年が起こした有名事件の、あれやこれやとパーツを集めているように思ったのと、冒頭の導入部がイマイチ掴みどころがなかったのが残念なぐらいで、次第に釣りこまれていった。
特に、自分の双子の兄弟を殺された中学生の心情が、痛いほど伝わってきて、最後のほうは泣けた。
タイトルのとおり「復讐」の物語であり、主人公が「復讐」を思い立つまでの心情がとても説得力豊かに描かれている。そのころにはこの主人公にとても同情していたために、復讐をし遂げないでこのまま忘れて(忘れられなくても)平穏に幸せになってほしいと念じてやまなかった。
被害者家族にしても、加害者家族にしても、どちらも想像を絶する辛い境遇に身を置かれる。立ち直ることが出来ない人も多いだろう。立ち直ることが出来たとしても、それも想像を絶する経過があるだろう。
加害者本人が断罪されたとしても、だからといって亡くなった命は還らないし、被害者家族の受けた悲しみが癒されるわけではない。
ほんに憎むべきは「犯罪」だと思った。このテーマは乃南アサさんの「風紋」「晩鐘」が印象深く、それには及ばないと思うけれど、こちらも重く心に残る物語だった。
「北斗」の感想でも書いたけど、完全ノンフィクションでは書き得ない。フィクションだからこその説得力だと思う。
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