【本】七帝柔道記/増田俊也

4041103428七帝柔道記
増田 俊也
角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-03-01

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著者の「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(感想こちら)がとてもよかったので、こちらの本も読んでみた。
うんうん、とってもとっても面白かった!
主人公は著者の実名なので、実録なのかと思ったけど、虚実入り混ぜてあるらしい。
でも、大まかなところは実際の出来事だったんだろうとおもう。

著者は名古屋の名門高校を卒業のあと二浪して、高校の柔道部在籍中に出会った寝技中心の七帝柔道をやるために、七帝大(北海道大学、東北大学、東大、名大、京大、阪大、九大)の一つである北海道大学へ進学した。

大学生としての2年間ほどを描いた著者の青春記と言っていいと思うんだけど、「青春」と言う言葉とは程遠い過酷な生活が描かれていて、読み手としては唖然とするばかり。とにもかくにも、柔道柔道の毎日。凄まじいのである。
文中に繰り返されるのは、悲壮とさえ言えるほどの練習風景。繰り広げられるのは阿鼻叫喚の地獄絵図。締め落としで悶絶の末に気絶したり失禁したり、それが毎日どころか一日に何度もあったり。。まさに想像も言語も絶する風景だ。
柔道って、スポーツじゃないの?やってる人たちはみんな大学生じゃないの?大学って勉強するところじゃないの?なんでこんな「地獄」「業火」「煉獄」「阿鼻叫喚」なんて言葉が出て来るようなことに?どうしてこんな辛い思いをしてまで柔道をするの?練習のキツさに(キツイなんて言葉じゃ全然足りない!)鬱病にさえなりかけているのに、どうして辞めないの?そして、そんなにもそんなにも練習しているのに・・・・勝てないの??
と、思いながらも読む手が止まらない。
大学時代と言えば、人生で一番楽しい時間と言っても過言じゃないのではなかろうか。でも彼らには柔道しかないのだ。おしゃれにも女の子にも縁が無く、週に一度の休みには泥のように眠るだけ。寝ては柔道の夢を見る。それも苦しい夢を見る。起きたらまた練習に行く。寝ても覚めても柔道しかない生活。それはもうすでに滑稽ですらあった。

・・・しかし、よりによって、七帝柔道最下位の北海道大学に・・。
よりによって、極寒の北海道大学に・・・。
なんで入るかなぁ・・・(^_^;)。

それでも実は「どうして辞めないの?」と言う気持ちよりも「辞めないで頑張って!!」と言う気持ちを強くして読んでいた。授業には出ず、出たとしても教授に難癖つけたりして、とんでもない学生だし、親や大人の目から見たらけしからんのである。自分の息子がこんな風ではきっと腹も立とうと思う。
でも、泣きながら・・小学校4年のとき以来初めて泣いてしまってからは、著者たちはしょっちゅう泣いているんだけど・・・死にそうになりながらも←大げさじゃなく・・・柔道をやめない著者たちは、この過酷な練習生活に真摯に向き合う著者たちはとっても天晴れで感動的。
柔道しかやってないようでいて、柔道によって人との絆を深めたり、精神的にも強くなったりして、ちゃんと青春記してたのも良かった。
この人たちが大好きになってしまった。
沢田さんはどうなったんだろう。一緒に北大優勝に向けて頑張って欲しかったな。。それが切なかった。

井上靖の「北の海」の続編とも言える作品とのことで、私も「北の海」が読みたくなった。
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