【本】ねじれた文字、ねじれた路/トム フランクリン

4150018510ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
トム フランクリン Tom Franklin
早川書房 2011-09-09

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とある失踪事件の(誘拐殺人の)犯人として疑いを持たれているラリーが、侵入者によって撃たれてしまう。その捜査に入った治安官のサイラスは、ラリーのもと「ともだち」だった。しかし、彼はそれを公にしなかった。
それはなぜか。
25年前にも、少女の失踪事件があり、その犯人としてラリーが疑われたのだけれど、証拠不十分で逮捕されなかった。しかしラリーは街のみんなからは犯人と確信され、のけ者にされてしまったのだった。

25年を孤独の中で生きてきた(途中軍隊に入ったが)ラリー。彼は果たして殺人犯なのか。
でもそれは冒頭彼自身が否定していることで、読者はラリーの無実を信じることになる。
そうした上で読み進めると、ラリーが陥ったこの孤独な地獄の辛さに、哀れみを覚えずにいられない。

徐々にラリー自身の辛抱強さや心の広さも分かってくる。
実直に毎日を丁寧に暮らしているラリーの姿からは、嫌悪感は少しも感じられなかった。
むしろなぜこの青年がこんな理不尽な仕打ちを受けているのかが、不思議で仕方がない。
やがてそれは明らかになる。
少年時代の友情が、哀しいきっかけで崩壊する瞬間。
彼の父親はなぜそんなことをさせたんだろうか。だってこの二人は・・。
幼さと、そのときの状況の切迫感がさせてしまったことだったと思う。
でも、そのために二人の友情はもろくも崩れ、その後の30年近くを、たったひとりで暮らしていかねばならない人間が・・・必要だったんだろうか?

真実を知ったとき、私はサイラスを許せないと思った。
いくらあの少年の日の出来事があったからといって、ラリーの人生をこうも踏みにじるような事をするのか?
私がラリーなら、サイラスを許さず、ほかの誰も信用せず、ただ怒り、憎み、拒絶する人生を送ったことだろう。
ラリー、許さなくっても良いよ。そんなひどい奴!!そんな風に思ってしまう。

だけど、サイラスやアンジーがラリーのためにしたことを知り、そこにラリーが帰ってゆくラストシーンは泣けて泣けて仕方がなかった。

憎み続け、拒絶しあう人生よりも、許しあい求め合う人生のほうが豊かに生きられる。
やっとラリーにも幸せが来る。
あんなに求めた友達が出来る。家族も。
読み終わっても、ラリーのその後の人生を思いやると感無量になってしまった。
どうかせめてこの後は幸せにと願ってやまない。



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