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【本】沈黙の町で/奥田英朗

4022510552沈黙の町で
奥田英朗
朝日新聞出版 2013-02-07

by G-Tools


中学生が校内で死んでいた。事故かいじめか。
・・・と書くと、宮部みゆき「ソロモンの偽証」を彷彿とする。
実際、新聞で連載が始まったとき、当時雑誌連載中だった「ソロモンの偽証」に酷似しているんじゃないかと思ったことを思い出す。単行本になったものを改めて読んでみると、やっぱり似ていると思えてしまう。
読んでいる最中も気が弱い校長とか、面倒な叔父とか、どっちに出ていたんだっけと混乱してしまった。
しかし、宮部さんの描いた中学生たちがある意味理想的な子供たちだった(自分たちで裁判を開くほど賢く実行力がありパワフルだった)のに対して、奥田さんの描く中学生は実にリアル。しゃべるのが下手で、語彙力がなく、物事の真実をうまく伝えられなかったり。とても残酷で、子どもと大人のまさに狭間にいる。妙に義理堅かったり、また、単に目立ちたかったり。
そうそう、子供ってこんな感じだよね。。と思う。
物語は「中学生の死」という大きな痛ましい出来事の背景にあるものを、丹念に掘り起こす。
当初考えられたこととは、おおよそ違う事実が次第に明らかになってくる。
一概には言えないのだ。いろんなことが絡み合っている。些細な感情のささくれや小さな齟齬がやがて大きな結末を引き起こす事もあるのだ。
この出来事を、もしもテレビや新聞などのメディアを通してみたら、私はいったいどう受け取っただろうか。事件の背景に実際にあったことは、とても数百文字の文章や数十分の映像にまとめられるものではない。でも、普段私たちはそうやってまとめられたものの表面だけを見て、事件の全容を知ったつもりでいるんじゃないだろうか?
そんな問題を投げかけられたと思う。
余談だけど、この小説の連載終了当時、まったく良く似た事件が実際に起き(事件が起きたのはその前年だったが)世間に衝撃を与えていた。類似性に慄いたものだった。この物語は単なる物語ではないと改めて思わされたことだった。
いじめによる事件として主犯格の少年たちが4人、逮捕や補導されるが、それも中学2年生と言う学齢は、13歳から14歳になる年であり、13歳なら補導、14歳なら逮捕だ。
たった一日だって、誕生日が来ているのかまだなのかによって世間的な立場が変わる。
そんな疑問も投げかけられた。
特に読み応えがあったのは、母親目線で描かれた部分。
自分の子供がこういう事件に関わっていたら・・。ここに登場する母親は死んでしまった子供の命を悼んだり、その母親に哀悼の念を感じるなどと言うことが殆どなく、とてもエゴイスティックに感じられた。
だけど、もしも自分がこの親の立場だったら、自分だってきっとエゴ丸出しになるのかもしれない・・と思ったり、あるいはここまで我が子の為にエゴイスティックになるなんて、ある意味親としては感動するべきなのだろうかと思ったり・・。
しかし、死んだ子の母親の気持ちには泣かされてしまった。死んでから、事実が次々と分かってくる。自分が思っていた我が子の姿とは違う姿も見えてくる。いたたまれない。母親が女子中学生に気持ちを吐露する場面があるのだけど、子ども相手にそこまで言う?と言う気持ちもあったが、それよりも、そうせずにいられない母親の気持ちが切々と迫ってきて、泣けてたまらなかった。
子どもが死ぬ・・なんて痛ましく悲しいことか。やり切れない。
深く大きな悲しみが残った。
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12:06 : [本・タイトル]た行トラックバック(1)  コメント(2)
見事でした。
私たちが普段ニュースを聞いて感じることの裏側に、もっともっと大きな深い事実があるってこと、改めて気付かされました。
部外者にとってはニュースで見知ったことだけがすべてで、真実はもっとあるかもしれないのに・・・。

今回は不幸な結果になってしまったけれど、名倉少年をめぐって、坂井瑛介と市川健太の気持ちが変化していくところ、ああ、だよな~って納得してしまいました。

名倉タイプって意外といるんですよね。

それでも親からすれば大切な息子で、だから仕方ないなんて到底思えないわけで。
被害者、加害者なんて結構簡単に入れ替わるものなので、子供の世界は本当にサバイバルですね。

大人だっていろいろあるんだから・・・。
藤田少年は黙っていられるでしょうか。

結構堀田弁護士の発言って名言多かったですね。

2014/05/14(水) 18:22:52 | じゃじゃまま │ URL | [編集]

じゃじゃママさん コメントありがとうございます!

例によって・・・
毎回同じことばっかり言ってて申し訳ないですが(^^;
細部は忘れてます。

>名倉少年をめぐって、坂井瑛介と市川健太の気持ちが変化していくところ、
>堀田弁護士の発言って名言多かったですね

など、もう全然思い出せません。ごめんなさい(^^;

私はとにかく、亡くなった少年のお母さんの気持ちに打たれました。
なんて悲しい出来事でしょうね。
耐えられません。

子どもが死ぬという悲劇が最大限に伝わってきた気がしたことを憶えています。

2014/05/16(金) 20:23:58 | short │ URL | [編集]

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2014/05/14(水) 18:16:53 |

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