【本】狭小邸宅/新庄耕

4087714942狭小邸宅
新庄 耕
集英社 2013-02-05

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図らずも、垣谷美雨「ニュータウンは黄昏て」に続いての「家」物になった。
しかし今回は「売る側」の物語だ。
主人公の「ぼく(松尾)」は不動産会社に勤めていて、家を売るのが仕事だ。
でも、なかなか売れない。
そんな社員に会社上層部は完膚なきまでに面罵したり貶めたり、徹底的に扱下ろす。
また、家を「売る」ことを「殺す」などと言うそうで、この業界の裏の顔に慄いてしまうのだ。
ただでさえ、物を売ると言う仕事は楽ではない(仕事なんてどれも楽ではないと思うが)うえに、売るものが「家」とあってはその過酷さも想像を絶する。
都心では、ペンシルハウスと呼ばれる、小さな家(表紙絵の家だ)でさえも5000万円以上するらしく、条件がよければ価格も驚くほど上がってしまう。
そんな業界の裏話に震えながら、こんなにも理不尽に(思える)ひどい扱いを受けながら、主人公はなぜこの会社を辞めないんだろう?と疑問だった。もう辞めたらいいのに、すぐに辞めたらいいのに・・と言う気持ちがずっと消えない。じれったいぐらいだった。
だがやがて、主人公は変わっていく。ふとしたきっかけがあって、成長する姿を見せられる。
けれど、それでハッピーエンドになるかと言うと、そんな単純じゃなかった。
辞めずに、あきらめずに頑張ったことに、えらかったね・・とほめてやりたい気持ちと、やっぱり辞めたらよかったんじゃないのか・・と言う気持ち、複雑な気持ちで本を閉じる。
決して爽快な読後感ではないけど、一気に読まされた。
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