【本】ニュータウンは黄昏て/垣谷美雨

4103333715ニュータウンは黄昏れて
垣谷 美雨
新潮社 2013-01-22

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一軒家かマンションか、分譲か、賃貸か・・・。
いずれにせよ、住居について考えるのは大変だ。
バブルのころ中古の公団住宅4LDKを五千二百万円で買った頼子は、その後のバブル崩壊、資産価値の急落、夫の会社の退職金制度の廃止、年金支給額の繰上げなどなど、思いもよらぬ事態ばかりに見舞われて、十数年のローンを残し苦境にあえいでいる。夫が会社では冷遇されているようだし、自分にはマンションの理事役が回ってくるし、その上マンションは老朽化し、修繕か立替かで揺れている。
片や頼子の娘、琴里は就職活動に失敗しバイト生活。あるとき、久しぶりに会うことになった中学時代の友達から彼氏を紹介されたのだが、その後友達は行方をくらまし、紹介された彼氏と琴里はいつの間にか親密に。
彼氏は富豪の御曹司だったのだが・・・。
二人の親子に焦点を当てて、家、と言うものについて考えさせられる。
ローン地獄で苦しい頼子は理事になったことで、マンションに住むことのデメリットをイヤと言うほど突きつけられてしまう。私はマンション住まいではないので、いわば他人事だと割り切れるはずだったけど、簡単に割り切れず、読んでいて陰気になってしまった。
あまりにもリアルだったからだと思う。
(このマンションの理事会を定年制にするという案が挙がり、50歳代の頼子は受け入れがたく感じているけど、私が住民だとして、80とか85歳になって理事なんて大変なことをしたくないし、やれるかどうかも分からないよな~と思った。しかし、定年制にすると理事が若い人たちだけに当たり、それがゆえに新規入居者もなくなるということで、理事の問題ひとつだけでも考えただけでしんどい・・・と言うように、)
いろいろと大変なことが目の前に提示されたようで、気分が沈んでしまった。
以前「全壊判定」と言う小説を読んだが、そのときも解決の糸口がない問題を前に、「なんて大変なのだ」とため息をつくしかなかったのだけど、今回も同じ状況だった。
ともかく、マンションと言うか団地と言うか、集合住宅と言うのは色んな人が住んでいる。人が100人いれば考え方も100通りあるのと同じだ。どこで妥協するのか、どこまでは自分の意志を貫くのか・・物事をひとつ決めるのに、問題が大きいほど意見が分かれるし揉める。それで住まいは「ひとつ」なんだから厄介なのだろう。
物語の核のひとつは、このマンションの住民たちの人間ウォッチングだろう。
色んな人がいて色んなことを言う。その点は面白かったが、家を持つということが、本当に幸せにつながるのか?と疑問を感じてしまった。
現に、琴里の友達は自分たちの家を持ち、ニュータウンを出て行ったけれど、けっして幸せそうには見えないのだ。かと言って、残っている琴里、頼子の家が幸せかと言うとそうでもない。
ではいったいどうすれば人は家のことで満足できるのか?
やっぱり最終的にはお金なの?
で、琴里の彼氏の登場である。
決してお金があることが幸せには繋がらない。(金=幸せと言われても困るが)
山積の問題は、すべてがきれいにクリアされたわけではないので、とっても爽快なハッピーエンド!!と言うわけには行かないのだけど、少しだけ爽快な気分を味わうことができる結末にほっとした。

でも、やっぱり、琴里にしても、三起子にしても、友達に対してなんてひどいことをするんだろう、としか思えない。私が友達なら絶交だ・・・と思う。その点ではもやもやは払拭されなかったかな。。。
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