【本】しょうがない人/平安寿子

4120042340しょうがない人
平 安寿子
中央公論新社 2011-05

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とても平凡な、平凡すぎる主婦の本音がぎゅっと詰まった小説だ。
日向子は、高校時代の同級生が経営するネットショッピングでパートタイムをしている。
身勝手な従姉に手を焼き、仕事仲間とおしゃべりで憂さを晴らし(時にはそれがストレスにもなる)、顧客のグチを聞き、妹をちょっぴり見下しつつ、おたがい屈託なく近況やグチを打ち明けあったり、娘の反抗期に悩んだり、姑との同居の可能性におびえたり…そんな平凡な日常が描かれている。
ところどころで、「どうしよう?」と思うぐらい、私はリアルに共感を覚えた。
読書メーターなんかでは、「登場人物のグチっぽさにいらいらした」と言うコメントが多数見られて、私なんかはただ「わかるわかる~~!」と、読んでいたので、その読者コメントを見て「そうか。普通はいらいらするのか…」と、ちょっと落ち込んでしまった。
しかし、主婦目線としてはかなり的確に要所を突いていると思う。
特に私が共感したのは、思春期の娘の反抗期のこと。
日向子の娘は中学2年生なのだが、いま、ケータイが欲しいし、月の小遣いの値上げを要求している。
親子間のやりとりはそっくりそのまま、どこの家庭でもあるものじゃないんだろうか?
私は「うちのこと?」と思ったぐらいだ(笑)。
親がダメと言っても子どもは聞かない。そんな子どもに言うことを聞かせる苦労は並大抵じゃない。
育児はダメだしの連続である。そうしなければ子どもの周りは危険でいっぱい。子どもを安全に守りたい親心から、いろんなダメだしをしてしまう。それは親心なのだ。愛情なのだ。
でも、子どもには伝わらない。そして要求をはねつける親をただうっとおしがり、恨む。
親って、損。。首がもげる勢いで大きく頷く心境だった(笑)。
また日向子の実家では、老後に不安を感じた両親が、ゲストハウスを経営したいなんて言い出して、このまま大人しく平和に年を取って行ってほしい、と願ってやまない日向子の心を乱す。それが原因で、家族や妹とも険悪ムードになったりする。これはウチのパターンには当てはまらないけれど、ひとつ問題が起きると、ドミノ的にあちこちで齟齬が生じる、悩みが増す、疲れる…という流れが、真に迫って伝わってきて面白かった。
周囲の人たちを「しょうがない人」とあきれつつ、結局「しょうがない」と割り切る日向子。
主婦はパワフルでなければやってられないよなぁ…と、しみじみ思った。


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11:33 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

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