ぼくは悪党になりたい/笹生陽子

4048735357ぼくは悪党になりたい
笹生 陽子
角川書店 2004-07

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これ、かなり評判の良い作品ですよね。
で、手にとったのだけど、はじめのうちは文章がなぜか馴染みにくく(いやな文体ではなかったんだけど)鷲づかみ度には欠けた。
しかし、あるとき主人公が映画を見る。
その映画は「ギルバート・グレイプ」。わたしが一番愛する映画です。
ちょっぴり病んだ家族を捨てられず、面倒を見ている青年の物語。
それまで映画には関心がなく、ジョニー・デップもディカプリオも、ましてやラッセ・ハルストレム監督もよく知らない主人公が、「ギルバート・グレイプ」の主人公ギルバートにいたく共感を覚え、そして自分を重ねて行くのだけど、わたしはそんな主人公エイジにとても好感を持ち、このエピソードから感情移入して読むことができるようになった。
この「ぼくは悪党になりたい」は、ある意味で笹生流「ギルバート・グレイプ」なんだなぁと思います。
時々主人公が思い浮かべる映画のシーンが、映画を知ってる人には効果的にリアルによみがえり、感動を深めて行くと思う。

ギルバートほど深刻じゃないけど、このエイジも家族の面倒を見てます。
仕事で外を飛び歩いている母親に代わり、幼い弟の面倒を見て、家事全般も受け持ってる。わたしもこんな息子が欲しいと思えるようないい息子です。
物語は、エイジが修学旅行に行く直前、弟が水疱瘡になってしまうところから動き出します。母親は商品の買い付けで海外へ行ってるので修学旅行の間、弟の面倒を見てくれる人が必要になる。
そういう時この家ではいつも、母親の彼氏や元カレや準カレを呼ぶことになってるらしい。
で、今回白羽の矢が当たったのが杉尾という33歳の青年(中年?)。
この杉尾に弟ヒロトはとてもよくなつき、杉尾もまたヒロトエイジを大事にしてくれるのだけど、それには深い事情があったのです。

事情がわかったときにエイジが思ったこと、そしてとった行動、母親の言葉、すべてがじわーんと心に染み入ります。
エイジも杉尾っちもお母さんもみーんないい!
特に杉尾っちのメールは泣けた!

これでもか!みたいな、わざとらしい感動を誘引するものはなく淡々としているのだけど、読み終えた後胸がほっこり温もるような、そんな素敵な物語でした。
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12:20 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(2)
TBできない(>_<)。
コレは息子と重ね合わせて読んじゃいましたね。
装丁がいいです。

2006/04/20(木) 13:05:28 | ユミ │ URL | [編集]

ユミさん、わたしのほうからTBさせていただいておきました。
カズくんってこんな感じなんですか?
うちのはぜんぜん違うからぜんぜん重ねることがなかったよ(笑)
ちょっとは見習って欲しいわ。

2006/04/20(木) 19:50:58 | short │ URL | [編集]

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