【本】どん底 部落差別自作自演事件 /高山文彦

409379832Xどん底 部落差別自作自演事件
高山 文彦
小学館 2012-04-02

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内容説明(Amazon紹介ページより)
現代の部落差別の実態と犯人の正体に迫る

03年12月から09年1月まで、被差別部落出身の福岡県立花町嘱託職員・山岡一郎(仮名)に対し、44通もの差別ハガキが送りつけられた。山岡と部落解放同盟は犯人特定と人権啓発のために行政や警察を巻き込んで運動を展開していったが、09年7月に逮捕された犯人は、被害者であるはずの山岡一郎自身だった。
 5年半もの間、山岡は悲劇のヒーローを完全に演じきった。被害者として集会の壇上で涙ながらに差別撲滅と事件解決を訴え、自らハガキの筆跡や文面をパソコンを駆使して詳細に考察し、犯人像を推測していた。関係者は誰も彼の犯行を見抜くことができなかった。
 被差別部落出身で解放運動にたずさわる者が、自らを差別的言辞で中傷し、関係者を翻弄したこの事件は、水平社創設以来の部落解放運動を窮地に陥れた。06年の大阪「飛鳥会」事件で痛手を負っていた部落解放同盟は、この自作自演事件で大打撃を被ることになった。
 なぜ山岡はハガキを出さざるを得なかったのか--現代の部落差別の構造と山岡の正体に鋭く迫りながら、部落解放同盟が”身内”を追及する前代未聞の糾弾のゆくえを追う。
 週刊ポスト連載「糾弾」から改題。



被差別部落出身者の山岡が自分自身と仕事先の役場にあてて差別葉書を送り続けた事件のルポ。
殺人などの凶悪犯罪ではないのにものすごい吸引力。
特に後半、山岡を糾弾する部分は圧巻。もともと連載中のタイトルは「糾弾」だったらしいけれど納得できる。糾弾とは、される側ももちろんきついが、する側も自らに相当の厳しさが要求されるのだな、ということが良く分かる。そういう経験がなければ分からないことだと思うけれど、いつの間にか差別してしまっているということを、とにもかくにも「気づく」ことが大事なのだと思う。
自覚がなければ「差別」に向き合うこともできないんだから。向き合わなければ考えることもないし、考えなければ差別はなくならない。してない・・のではなく、大半のひとは気づいてないんだと思う。
それを気づかせる、自覚させる、そのうえで次のステップに進む。
その厳しい道のりが垣間見えた。
山岡を糾弾した人たちのその厳しさ。
しかし同時に優しさもあったのだ。
ところが山岡がその優しさを踏みにじるものだから本当に哀しくなった。
しかし、部外者が何をも言えないのではないかと思う。山岡氏を責めることもお門違いの気がしている。
しかししかし、そう思うことすらも差別のひとつなのかも…。
本当に難しい問題だと思った。
最初の犠牲者の中学教師が、中高生のときに自身の母親を蔑み罵倒して日々暮らしたエピソードがあった。しかし、後に悔い改めてお母さんに頭を下げたという。涙なくしては読めなかった。
「橋のない川」を思い出した。
「水平記」も積んでいるのでちゃんと読まねばと思った。
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