【本】百年法/山田宗樹

4041101484百年法 上
山田 宗樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-07-28

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4041101913百年法 下
山田 宗樹
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-07-28

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内容(「BOOK」データベースより)
原爆が6発落とされた日本。敗戦の絶望の中、国はアメリカ発の不老技術“HAVI”を導入した。すがりつくように“永遠の若さ”を得た日本国民。しかし、世代交代を促すため、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律“生存制限法”も併せて成立していた。そして、西暦2048年。実際には訪れることはないと思っていた100年目の“死の強制”が、いよいよ間近に迫っていた。経済衰退、少子高齢化、格差社会…国難を迎えるこの国に捧げる、衝撃の問題作。



原爆が6個落とされて壊滅状態になった日本・・・日本共和国、と言う名前のパラレルワールドの物語だ。
そこには不老不死になれる「HAVI」と言う技術が確立されていて、全世界的に流通している。
不老不死の体なんて、望まない人間はまれなのじゃないだろうか。
いまも、世の中「アンチエイジング」「長生きする方法」などの情報がごまんと飛び交い、人々はそれに群がる。アンチエイジングの言葉には「年を取るのは悪いこと」という含みさえ感じられる。
本書はそんな、今の世の中に、大きな問題提起を投げかけていると思う。
不老不死の肉体を持った人間は幸せになれるのか?
手塚治虫の代表作品「火の鳥」も同じテーマだった。
不老不死の体になることをもとめて、火の鳥の生き血を奪い合う。
でも、マンガの中で、不老不死を手に入れてなお、幸せなキャラクターはいない。
自分だけが長い間を生きることで、孤独に陥ってしまうから。
だけど、本書では全世界的に誰もが不老不死になる。孤独という難点は除かれるように思う。
でも、長年若い肉体のままで生きることで、コミュニケーションにも色々とさわりが出てきる。
たとえば、家族間でも、親と子どもと、祖父母や孫の世代まで、全部20代前半ばかり。
それで家族という形を維持していくことが出来なくて「ファミリーリセット」なんて言う習慣が出来る。文字通り家族を解消してしまうのだ。
100年も生きれば、その間に何度も結婚、出産、離婚を繰り返す。血筋によるつながりは無く、しだいに人とのつながりも逆に希薄になっていく。
やっぱり孤独。
文明や化学が進歩しても、ちっとも幸せそうじゃない。

一番の問題は、誰も死なない社会ということ。人口が爆発的に増える。
だから、HAVIを受けたら必ずその100年後には死ななければならないという法律「百年法」が出来るのだ。
けれど、それを本当に納得できる人間ばかりとは限らない。
百年法を推進する政治家でさえ、わが身が可愛く、死にたくないと思ってしまう。
そこで、人間の命に対するがむしゃらな固執や、生老病死という大きな問題が浮かび上がり、読むものに問いかけてくる。生きるってどういうことかと。

でも、100年も200年も生きるって・・・・考えただけでしんどい。
やっと50まで来た・・・と思うのに。
この先50年も100年も生きろといわれたらどうしよう・・(誰も言わないけど)。
死があるから生が輝く。
生と死は抱き合わせなのだ。
なのに片方(死)がなかったら、もう片方(生)もいびつになるに決まっている。
老いない死なない、そうなったら人間はどう「生きる」のかなぁ。
そういう点では、深い書き込みは感じられなかったかな。政治的なことに終始してた?
ケンの存在が異彩を放ってはいたけれど…。

大長編だけあり、大風呂敷を広げた感があり、どう収束するのかとハラハラしたけれど(^_^;)うまくオチをつけたと思った。ただ、そのオチのつけ方はちょっと安易だったかなぁ・・という気がしなくもない。
あっけないというか拍子抜けというか。
かなり大評判のようで、私も面白く読んだけど、去年の「ジェノサイド」のほうが何倍も面白かったし好きだったなぁ。比べるものでもないかも知れないけど。


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