【本】毒婦 木嶋佳苗100日裁判傍聴記/北原みのり

4023310816毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
北原 みのり
朝日新聞出版 2012-04-27

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別海から来た女 木嶋佳苗悪魔祓いの百日裁判」(佐野眞一著)に続けてこちらの本も読んでみた。

2冊の本を読んでも、木嶋佳苗が何をしたのか、何を考え、どういうつもりで、動機は何で、殺人を犯したのか、それとも犯してないのか…結局、分からなかった。
本人の主張を信じるとすれば、「殺してない」。で、裁判所の裁きを鵜呑みにするなら、「殺した」と言うことだ。決定的な証拠は何一つなく、そのうえ何箇所か解明できてない点すらあるらしい(合鍵の話とか)。なにより本人は「自白」してないのに死刑の判決は妥当なのだろうか。自白がすべての真実とは限らないとは思うけど。

ただ本書は、佐野版と違い、木嶋佳苗を「殺人犯」と断定したことは一度もない。木嶋佳苗の両親の実名を出してない(出さなくても十分成り立つと分かった)。
著者にも結局木嶋佳苗のことはわからなかったんだけど、でも出来る限り理解しようという姿勢が好ましく感じられた。被害者男性たちについても、その背後の孤独を思いやるなど、共感が持てた。
そして、いろんな点で「女性目線」がバシバシと伝わる。佐野版は明らかに男目線だったと思う。
そして、世の中は男目線がとても勝っているな~と感じた。
それを「当然のこと」と受け止めている自分のことも気づいた。
たとえば、ある被害者は、木嶋佳苗とホテルに行って、おそらく睡眠薬入りのコーヒーを飲まされ、昏倒してしまう。そして、同じようにもう一度ホテルに行き、同じように睡眠薬が入れられたと思われるコーヒーを無防備に飲み、同じように昏倒してしまう。
これが男女逆転していたら??という考察があるけれど、女はとてもそんな状況を受け入れられない。恐ろしくて兵器ではいられない。平気でいられる男子は、安全な世界に生きているなと感じた・・と書かれていて、ふむふむとうなづいてしまう・・と同時に、自分ではそこまで思わず、ただ単に同じ手口で昏倒させられた被害者を、どこか馬鹿にしてしまっていた。真実の表面をただなぞるのではなく、その裏まで掘り起こしているような観察が、女性ならではの視線のように感じた。

それから、被害者のひとりは、10年前に妻を亡くし、ごみためのような汚く散らかした部屋に住み、コタツ布団は妻が死んで10年間一度も洗ってないと言う。畳を上げたところなどは「気絶するかも」と言うほどの有様だったらしい。
うちの夫や息子のことを重ねて暗澹としてしまった。
私が先に死んだら、夫はまだしも、息子などはまったく自分の身の回りのことが出来ないので、どうするんだろう・・・。こんなに何も出来ないのはうちの息子ぐらいだと思っていたけど、この被害者男性のことを読んで、世の中には同じような人間もいるんだと妙なところで納得したり、暗澹としたりした(^_^;)。
この男性に息子の将来を見る思いがしたけど、それが一番印象深いって言うのは…どうなの??


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