【本】>別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判/佐野 眞一

4062177641別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判
佐野 眞一
講談社 2012-05-25

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2009年に3人の男性を殺したり、何人もの男性を結婚詐欺まがいで大金を奪った木嶋佳苗。
その裁判を描いたノンフィクション。

本書を読んで、木嶋佳苗が「やったこと」がどんなことであったか、実は読んでもイマイチはっきりとはわからなかった。木嶋は終始一貫して殺人を否認している。
全容を知っているとされる被害者(当事者)は死んでしまっているのだから喋れない、あるいは、生きている騙された男たちは殺されていないのだから、真相をこれまた喋れない。
いったい真実はどういうことだったのか?
私がノンフィクションを読むのは、ほぼ「真相が知りたい」という理由から。
だから本書を読んでも納得も満足もできなかった。
木嶋佳苗は本当に3人の男たちを殺したのか。そのとき何を考え、どう感じたのか。
読み終えてもやっぱりなぞだった。
わかったことは、木嶋佳苗の反社会性。サイコパスと呼ばれる人格だったが、それもあまり詳しくは書かれておらず、証人もあまりいなかったようで(反抗に関する男性たち以外に、付き合いがあまりない)良くわからない。
まぁこの「よくわからない」というのが木嶋早苗の人格だったんだろう。
うそつきだったそうだし、小学校のころから手癖も悪かったというし。
でも、それがなぜなのか知りたかった。生まれ付いてのもの…ということらしいが…。
著者の問題ではなく、木嶋佳苗という女がかぶった仮面が完璧すぎるということだろうか。


それとは別に、著者の作品は初めて読んだ。「東電OL殺人事件」などは、一度読みたいと思いながら機会を逸していて、本作が初読みとなった。
読んでいて、あまりにも主観が強い感じがして驚いた。
そもそも、裁判で木嶋早苗は死刑判決を受けた「犯人」ではあるけど、本人は犯行を否認している。
真相はいまだにわかってない。
ということは、他者が木嶋被告を「殺人犯」と断定するのは正しいことではないのでは?
ノンフィクションライターなので、確実ではないのに断定することに違和感を感じた。
「殺した」という表現が出るたび、「殺したと思われる」などの言い方をしたほうが良かったんじゃないかと気になってしまった。判決についても著者は納得してないんだしなおさら。
本書の端々に「自分の考察が正しくてほかのは間違っている」というのが垣間見えたし、また、自分だけが正義と信じているかのような、正義にのっとって悪を断罪するのだという押し付けがましさが目に付いて、それこそ鼻白んでしまった。
いちばん嫌悪感を持ったのは、著者が寝ているときに木嶋佳苗の生霊にとり殺されそうになった…みたいなことが書かれていたこと。キワモノ作家でもないのに、こんなことを本気で書いているなんて、人格を疑う。読者を馬鹿にしていると感じた。


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