明日の記憶/荻原 浩

4334924468明日の記憶
荻原 浩
光文社 2004-10-20

by G-Tools

「ほら、あれ、あの作品」
「あの人、あの人。あの映画に出てたあの人!」
そんな会話の多い私には他人事でない作品だった。
主人公は、ごく普通の広告代理店勤務のサラリーマン。
「加齢による単なる物忘れ」の範疇を超えた「記憶障害」が、実は「若年性アルツハイマー」と分かってからの、恐怖や哀しみをリアルに描いている。
病気になること、それ自体は決して不幸な事ではないと思う。
その病気になったことで「苦しむ」ことが、不幸なのだと思う。
だけど、まだまだ働き盛りで、特に病気でもなく、仕事も順調で…なのに、「なぜ自分がこういう事になんだ??」と、苦しまずにいられない人間がいるんだろうか?
だんだんと、壊れていく自分を認識しているという悲しさ。切なさ。苦しさ…。焦りと不安と恐れ…。「なんで?何が悪かった?」という不毛な自問自答。負けまいという気負い。もしも自分がそうなったら、この主人公のようになるだろうという、とってもリアルな描写に圧倒された。主人公だけではなく、家族や同僚などの反応も概ねリアルなんだと思う。
人に悟られまいとしてぐっと踏みとどまろうと、メモにメモを重ねる主人公のジャケットのポケットはパンパンに膨れていく。
その物忘れを、同情する振りをして利用する人間もいる。
優しい人も、エゴイストたちも、全てが読者にとっては切ない。
この物語のラストは、ひたすら美しくて悲しくて胸苦しい。
涙を流さずにいられなかった。

なおぞうさんからお借りしました。ありがとうございました。
泣かなくとも、中高年必読の書…と思った。オススメ!!
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