【本】新月譚/貫井徳郎

4163812903新月譚
貫井 徳郎
文藝春秋 2012-04

by G-Tools



謎の美人作家が断筆した理由を紐解く物語。

以下ネタばれ含みます。未読の方はご注意願います。
















後藤和子はとある小さな貿易会社に就職して、社長の木ノ内と恋人同士になる。
和子は自分の外見が、人並みはずれて不細工なのがコンプレックスだったが、木ノ内は人の価値を外観だけに求める男ではなく、和子の聡明さや内面の良さも見つけてくれて、和子は一時期とても幸せになった。
しかし、木ノ内は女性にモテるし不誠実でもあり、和子以外の女も愛してしまうのだ。
結局和子は親友の季子に木ノ内を奪われてしまうのだった。
そのことが原因で和子は美容整形によって、過去の自分を消してしまう・・ことにする。
絶世の美女と生まれ変わった和子に、幸せが訪れるのだろうか・・・。

女は美人になりたいと思う。不細工じゃなくても、誰でも「もっときれいだったらなぁ」と言う願望みたいなのは・・女なら誰でも少しは持ったことがあるんじゃないだろうか。
(私は「美人じゃなくてよかった」と思うことも多いのだ)
そういう心理描写がとても良く描かれていて、男性作家の作品とは思えないほどだった。
女性目線から見ても、ここに描かれた数々の、女性に対する男の態度の理不尽さなどは説得力があった。
しかし、美女になっても和子は決して幸せになっていない。
彼女は、ブスな時も美人の時も、どっちも変わらずに不幸なのだ。気の毒な人だ。
ところが、結局それが原動力となって小説家になり大成を収めるのだから、人生は分からない。

いつまでもいつまでも木ノ内に執着する和子。本来なら和子のそういう部分にイラっとしたり、反発したりするはずだけど、木ノ内の魅力により、和子の執着に納得してしまった。

実はどこまでも「他人事」と言う感覚が抜けなかった。
ひがもうが整形しようが、不倫しようが、小説を書こうが、(他人事だから)ご自由に。
多分私は主人公の和子が好きじゃなく、応援する気持ちにもなれず、共感も持てなかったんだろうと思う。

でも、それでも小説は面白く一気読み。
和子の書いた小説が読みたいと思った。
スポンサーサイト
14:42 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL