スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- : スポンサー広告:  トラックバック(-)  コメント(-)

【本】紙の月/角田光代

4758411905紙の月
角田 光代
角川春樹事務所 2012-03-15

by G-Tools


 
銀行に契約社員として働く梅澤梨花は、約1億円を横領し指名手配されている。
なんのために、どうやって。そして、犯人はどういう人物なのか。
学校時代の同級生、昔の彼氏、料理教室で知り合った主婦などの目を通して見えた梅澤梨花の姿と、本人の回想から徐々に明らかになる事件の真実とは。

自分にはまったく異世界の物語りながら、釣込まれて一気読みした。
梨花が大学生の広太にハマって行く過程・・そこには、夫との不仲とは決して呼べない、でも、確かな違和感があってのこと・・・が丹念に書かれていて説得力があった。
他の人の感想で、前半はリアリティがなくてつまらないというのを読んだけど、それは男の目から見たからではないのかな?女が読むと前半こそリアルなんじゃないだろうか?
若い男に言い寄られて、おそらくそれを恋愛と勘違いし(彼女は本当に広太を愛したのだろうか?)どんどんハマりこんでいく。そこまではすごく「ありそう」な話だと思った。
後半は、まるで魔法にかかったように、夢の中での出来事のように、ふわふわとした感じの中で、およそ現実から目を背け、ただただ男のために、男と一緒に過ごすために、どんどんとお金を注ぎ込んでいく。
自分で自分の行動を制御できない。
男に虚構の自分を見せ付けているうちに、いつの間にか全能感に支配され自分にも本当の自分が分からなくなっている主人公。
物語としてはとても「面白く」読めたけど、それがリアルかと言われると、私にはまるで共感が出来なかったのだけど・・。共感は出来ないが、「自分が不正をして得た金額がどれぐらいか、計算するのが恐ろしいぐらい」と言うその金額は1億と言う巨額で、それをほぼ無我夢中で横領しまくる光景は、ひたすら恐ろしくて目が離せずページをめくる手が止まらなかった。(「誰かの木琴」を思い出した。)
たしかにたくさん買い物をしたあとなど、なんだか気持ちが軽かったり、楽しく高揚感があったりして、買い物によってストレスが発散されると言うのは分かる気がする。
(でもそれは飽くまで分相応の範囲内での話である)
お金は恐ろしい。。。梨花との思い出を持つほかの登場人物たちも、同じようにお金に翻弄されている。
私はこうはならないぞ・・と自信があるのだけれど、ひょっとしてたがが外れる瞬間があるのかもしれないと思うと、少し恐ろしくなるのだった。

ところで、事件を知った広太はどう感じたのだろうか。
広太自身は悪人ではなく、大金持ちの梨花との不倫ごっこをお金込みで享受しているうちに、お金によって縛られてしまう。最初は楽しくてもだんだんと自分自身が汚らわしく思えてきたんじゃないかな。
梨花のお金だと信じていたんだろうか。心のどこかで疑ったりしてないのか。
一億もの大金を犯罪によって捻出して、自分のために使っていたと知ったとき、広太はどう感じたのだろうか。
そして、夫の正文は。やっぱりどこまでも冷静だったのかな。

このあとの物語を想像するのは読者の楽しみではあるけれど、「続編」と言う形で彼らの物語を読んでみたい気もしたりして。
スポンサーサイト
15:51 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。