【本】相田家のグッドバイ/森 博嗣

4344021355相田家のグッドバイ
森 博嗣
幻冬舎 2012-02-24

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著者の作品は初読みです。
自伝的小説という声も聞かれる本作品、かなり淡々とした文体で、感情移入がしづらくて、最初のうちはとっつきにくく手こずってしまった。
なんせ親の代から、じっくりと丁寧に家族の軌跡が描かれている。
密な関係の家族ではなくて、ちょっと冷めてるというか、冷静と言うか、一風変わった関係の家族にも見受けられる。
だから少し共感がしにくいと言うか、そんなこともあり前半はそれほど面白くもなく、ただひたすら「事実の列挙」を読む感じ。
でも、この文体に慣れてくると、だんだんとその淡々とした中にも、共感を感じた。
年齢的に、今の自分と重なり、親の介護や親の死に会うシーンなどは、やっぱり胸を打つものがある。
あまりに淡々と書いてあるので、最初はこの主人公の「優しさ」が良く伝わってこなかった。
でも、親に対する気持ち、妹に対する責任感など、とても誠実で親切なのだ。
親が死んで遺産相続に関する手続きの煩雑さ(そんなに大変なのか!!・・まぁウチには心配ない事だけど)それを愚痴ひとつこぼさず、着々と黙々とこなす主人公の姿には頭が下がった。
ひとつ驚いたことは、主人公の母親が「貯め魔」で、片っ端からものを溜め込んで、マトリョーシカのように入れ子の箱に、大事なもの(お金や通帳や宝石など)を残し、その箱が部屋を・・いや、家を埋め尽くしていると言うのだ。
それらの上にはホコリが溜まり・・・想像しただけでも、驚いてしまうのだけど、整理されてなかったら、言葉悪いけど「ゴミ屋敷」状態・・。この辺少し、橋本治の「巡礼」を思い出した。整理してある(整理できる)って、大事なことだな・・(^_^;)
お母さんはユニークな人で、隠しものの場所には「ヒント」を残してある。でも、そのヒントはあまりに難しくて役に立たない。
それでも何とか探し出した現金はなんと8000万円!!それがみんなお母さんのへそくりだと言うのだ。
これはとにかく印象的なエピソードだった!
子どもたちも成長し独立し、両親が死んで、主人公夫婦は、思い切った行動をとる。
思い切っているのだけど、彼らにしたら全然そんなことがない。
彼らは身軽だった。うらやましいほどに。
最後のシーン、自分が今までしてきたことに対して、妻が言うせりふ、こんな風に言える夫婦っていいな・・と思わされた。
自分をちゃんと見ていて、理解してくれる、自分の気づいてないことまで、ちゃんと見て評価してくれる、そういう連れ合いがいたら、この主人公の残りの人生もきっと楽しいに違いない。(結婚当初は、大丈夫かいな?この夫婦・・・と思ったけど・・(笑)大丈夫そうだ)
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12:20 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

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