【本】奪われた人生 18年間の記憶/ジェイシー・デュガード

4062167832奪われた人生 18年間の記憶
ジェイシー・デュガード 古屋 美登里
講談社 2012-04-18

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テレビで話題になった事件の本です。なんと、誘拐された本人が書いた手記。

著者は、11歳のとき犯人に誘拐され、18年間も監禁された。
犯人はフィリップ・ガリドとナンシー・ガリド。
二人は夫婦で、目的はフィリップの幼児性愛の欲望を満たすため。
著者は誘拐されてすぐにフィリップの目的を果たすための道具とされ、そのままその「習慣」は延々と続いた。
ときには覚せい剤を使用しながら、何日間もぶっ通しでことに及ぶ場合もあり、それを「ラン」と呼んでいたそう。
ナンシーは夫の性癖を満足させるため(それが自分の保身にもつながるので)夫に協力的だった。
しかし、たったひとりで閉じ込められていたジェイシーにとっては、ナンシーでさえも「話し相手」として必要だったよう。
ナンシーが部屋を去ったあとは「またひとりぼっち」と言う気持ちになってしまう。
後にナンシーが気難しいので、フィリップが来るのを嬉しく感じる記述もある。
3年後、著者14歳のとき最初の出産。父親はガリドだ。
また3年後、二人目を出産。
子どもは著者の生きる支えとなり、またガリド夫婦も子どもを可愛がったようで、ますます奇妙な同居生活となった。
また、ガリドは格安印刷屋を始め、ジェイシーにその仕事を負わせるようになる。
ジェイシーもよく仕事をこなし、だんだんと実入りも良くなっている。
ガリドは以前、婦女暴行で逮捕され服役していて、刑務所から出てまもなくジェイシーを誘拐した。
その当時もずっと、保護観察処分を受けていた。
保護監察官はときどきガリドの家を訪ねてきたが、母屋の裏庭が広いことも知らず、当然調べたことがなかった。
となりの家とは塀を挟んでいたが、ジェイシーの声が聞こえたこともあったはず。近所には家もたくさんあり、人もたくさん住んでいた。
また、子どもたちは母屋に自由に出入りできた。
外出もごくたまにだけれど、したようだ。
しかし、完全に恐怖に支配されて数年も経っていたジェイシーさんは、誰かに助けを求めると言うことが出来なかった。
フィリップは、ジェイシーさんの誘拐中、薬物使用により1ヶ月の禁固刑に処せられている。
それでも、18年間と言う間、ジェイシーさんの存在が明るみに出ることはなかった!!

事件の全容はすでにウェブサイトにいろいろ上がっているので、検索してみてください。
ウィキペディアはこちら



本書を読めば誰もが同じ感想を抱くのではないだろうか。
私個人が何も書く必要がないほど、万人共通の気持ちになるんじゃないだろうか。
犯人とその妻に対する、そして、ジェイシーさんが受けた酷い虐待に対する、激しい怒り。
地元警察の杜撰さへの憤り。
18年間と言う長さ、そしてその18年間の中身…妊娠出産していたなどの特異性への驚き。
しかし、それらを凌駕するのは、ジェイシーさんの強さであり、愛情深いひととなりへの驚きではないか。
普通ならこんな生活を18年間も強制されたら、きっとまともな神経のままではいられない気がする。
いくらセラピーやサポートをしっかり受けたとしても、ここまで回復したのは、本人の強さだと思う。
子どもが生まれ、その子どもたちが生きる支えとなったという事だけど、そんな状態で生まれた子どもたちに愛情を注ぐと言うことも、私ならひょっとしたら出来ないかもしれない。子どもを憎んでしまうかもしれない。
でもジェイシーさんは心底子どもを愛したのだから、その愛情の深さに頭が下がるのだ。
失われた・・と言うだけでは足りないその18年間は、もう戻らないのだけど、今後の人生がジェイシーさんとそのご家族、二人のお嬢さんたちにとって、せめて18年の不幸を埋めるぐらいの幸せな人生であるように願わずにいられない。
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20:55 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

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