【本】未来国家ブータン/高野秀行

4087714438未来国家ブータン
高野 秀行
集英社 2012-03-26

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さあ、文章的心の恋人(文章に惚れ込んでます)高野さんの新刊。やっと読んだ(*^_^*)。
今回は、先日国王が来日して話題を集めたブータンへ。
しかしきっかけは、ご友人の二村聡という企業家に依頼されたものだった。
二村氏はブータン政府と共同プロジェクトを開始、その現地の下調べを高野さんに頼んだのだ。
なんでもプロジェクトと言うのが「生物多様性」「生物資源の開発」と言うもの。
乗り気ではなかった高野さんは、二村氏の「ブータンにはイエティがいるんです」と言う言葉に乗っかって、ブータン行きを決定。
例によって現地の言葉を勉強して習得し(このあたりいつも尊敬と言うか憧れの元)、旅立ったのである。
ブータンは現在も半鎖国状態で、旅行や調査での滞在も、かなり限られた時間や範囲しか許可されないらしい。
そんなタイトな日程の中高野さんは、現地のエリート、ツェンチョ君をパートナーに、一ヶ月に渡りブータンに滞在。
激しい高山病や下痢に苦しみ、ルンタ・ギュップ(運勢下降)に悩まされながら続く相変わらずの珍道中。
果たしてイエティはいるのか?
そして肝心の「仕事」である生物多様性、生物資源については、調べられるのだろうか??


実は高野さんが依頼された「生物多様性」とか「生物資源」とか、あまり私には良くわからず、二村さんなるひとが高野さんに何を求めて、ブータンに派遣したのかも、よくわからなかった。
目的がわからないので、全編すこし靄がかかった感じではあったけど、高野さんにとって主目的は「UMA」「イエティ」なので…。
中盤登場するイエティは、ブータンでは「ミゲ」と呼ばれ、ある地方では「チュレイ」などと言う未知生物も登場し…。
実際に私自身は、夢がないようだけど「精霊」「物の怪」の類は一切信じられない。
だから高野信者ではあっても、その辺は申し訳ないけどさらーっと読んでしまう…(^_^;)。

今回印象的だったのは、ブータンという国家そのものだった。
ブータンは人口70万人弱。(八王子市や熊本市と同じ規模)国家と言うより、国家のミニチュア版だそうだ。
切り立った崖や、深い山々、壮大な自然の中で小さな国家が、GNH(国民総幸福量)世界一を誇る。
そもそも、国民総幸福量ってなんだろう?
たしかに以前ブータン国王が来日したとき話題になったけど、そんなの国王が勝手に言ってるだけじゃないのか?情報がいきわたらない未開国家で、世界を知らずに(井の中の蛙状態で)自分は幸せだと言ってるだけじゃないか?
なんて、ひねくれモノの私はちょっと思ってた。
でも、本書を読んで、自分の考えの浅はかさに恥じ入った。
ブータンの国王はすばらしいのだ。高野さんが推察するに、おそらくダライ・ラマの精神を受け継いで、環境立国を推進しているらしいけど、今の世の中では最先端の思想だという。
(高野さんが感動したという、ダライラマ・・私も読んでみたくなった)
国の先頭に立つ人物がこうであれば、国民は信頼して付いて行けるだろうと思わせられる。そして、ブータンではエリートが本当に謙虚で気配りの行き届いた人だというところに、心底感銘を受けた。
要するに、長年鎖国状態にあり、今は、先進国の見習うべき部分、見習ってはいけない部分を吟味して国家を運営しているようで、「いい所取り」をした挙句、今のブータンがあるとか…。
世界全体がこんな風になれば、それこそ世界中がGNHが高くなって、人類みな幸せ!なんじゃないか・・と思わせられた。

いつもながら高野さんによる、ブータンやチベットの歴史など薀蓄はとってもわかりやすくて勉強になったし、それから、冒頭では二村氏が目指しているものがイマイチわからなかった私も、終盤で高野さんが解説してある「お香」の例でやっとわかったのだった。うん、生物資源ってすごい!!(笑)

そうそう、ブータンの中でもとりわけ秘境とされる、メラ・サクテンに居住する部族、プロクバ(ブータンはこうした民族の伝統を守るためにも旅行者を規制しているらしい)の葬式には驚いた!
死んだら、体を108に切り刻み川に流すという。
鳥に食べさせるのは鳥葬だけど、川に流して魚のえさにするこの葬儀は「魚葬」だそう。
今も行われているそうで、度肝を抜かれた・・・。

※ブータンでは難民問題っていうのもあるらしい。
先日読んだ「秘境国」と言う写真集にもチラッと書かれていた。
またこれも、詳しく知りたいと思う。
4756241247秘境国  -まだ見たことのない絶景-
アマナイメ-ジズ ゲッティイメ-ジズジャパン株式会社
パイインターナショナル 2011-08-15

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18:20 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(2)
遺体を切り刻むのは家族がするのですか?ちょっとびっくりな風習です。でも、考えてみると、鳥葬も魚葬も、一種のリサイクルですよね、また、自然に還る、のでしょうか。

2012/06/03(日) 09:58:57 | くまま │ URL | [編集]

コメント、ありがとうございます(*^_^*)

どっひゃーー!!・・・でしょ?
家族がするのかどうかは、書いてなかったと思います。
私だったらイヤだなぁ・・・。(^_^;)
本で読むのはすきでも実際にはね・・・・(^_^;)
誰しもそうですよね。
>鳥葬も魚葬も、一種のリサイクルですよね、また、自然に還る、のでしょうか。
その通りなのではないでしょうか。
でも、途中が恐ろしいですね、どっちも。

2012/06/03(日) 12:18:46 | short │ URL | [編集]

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