【本】無菌病棟より愛をこめて/加納朋子

4163750304無菌病棟より愛をこめて
加納 朋子
文藝春秋 2012-03

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突然にして「急性白血病」というシビアな病気になってしまった作家の加納朋子さんの、闘病記である。
「あなたの病気は急性白血病です」なんて言われたら、一般的なイメージとしてはやっぱり「死の宣告」を受けたに等しいダメージを受けるものではないだろうか。きっと著者もそうだったと思う。ものすごくショッキングで立ち直れないほどの衝撃を受けたと思う。
でも、この本から伝わるのは、そんな中にもまずは、ユーモア。
夫の貫井徳郎さんと、「レアだよね」と言い合ったり「遺影はアレにしてね」と言ってみたり、歯肉炎になれば夫も「なったことないから後で見せて」と作家魂を常時チラつかせたり・・。
病状がもっと過酷になっても「放射線ピーリング」とか・・・(苦笑)そこここにクスリと笑えるユーモアが満載。
漫画やアニメの話題や(私も読んでる漫画が沢山登場)病気で痩せても「ナイスバディ」への希求心を忘れなかったり、闘病記としてはなかなか異例の明るさではないだろうか?
そして、全編にあふれるのは、ご家族や医療関係者への感謝の気持ちと深い愛情。
子どもさんを愛しく思うのはもちろん当然のことと思うけど、だんなさん好き好きー・・・という気持ちがあからさまに伝わってきて、加納さんって可愛い人なんだなぁ・・と思った。
そんな加納さんだからご家族からも同じように愛情のレスポンスがあって、献身的なご家族の姿に感動する。
特に貫井さんがカッコよくて・・!!
最初の入院で特別室しかあいてなくて、一日23850円もする高額な病室代・・それを聞いて著者ご本人はたじろぐのだけど、夫の貫井さんは「大丈夫です。払えます」と即答する。うわーカッコいい!!
そのほかにも会話や様子の端々からご夫婦のあったかい関係が目に浮かんだ。
素敵な夫婦関係なんだなぁ。。。
作家なので、やっぱり文章力表現力が卓越しているため、とても読み応えのある闘病記になっている。
骨髄液移植の前後のエピソードや体調や病状なども、すごく興味深く参考になった。
そして、HLAフルマッチの弟さんの「ドナー日記」もまた読ませる。
淡々としているけれど、姉の病気がわかってから、ドナーになるかもしれないと、即日禁酒実行など、頭が下がるばかりだった。そして、著者本人とはまた違う視点で著者を見れば、やっぱり相当に辛かったんだということも、よくわかる。
加納さんは、闘病中のすべての人に「絶望しないで。過去のイメージや数字に惑わされないで。まずは自分が前向きに病気と闘う気持ちになって・・」というメッセージを送っておられる。
加納さんは、2011年3月11日の震災の被災者の方や犠牲者の苦しみ哀しみを持ち出して、胸を痛めつつ、自分の病気などはなんとささやかな苦しみなのかと恥じる部分がある。
それを言うなら、日々、自分のもっと小さな・・命に関わるような悩みでもない些細な・・微小な悩みにグダグダと言ってしまう自分が、さらに恥ずかしくなってしまった。(これからも言うだろうけど)
加納さんが、早く全快されますように・・と念じて止みません。

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