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【本】星月夜/伊集院静

4163810307星月夜
伊集院 静
文藝春秋 2011-12

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浅草寺の境内に特設される、行方不明者捜索の相談所。
岩手県から上京してきた佐藤という老人は、専門学校生の孫娘の行方を捜していた。
鑑識課の葛西と皆川は、その老人の姿を見て、なんとか孫娘を探し出したいと願うのだった。
かたや、奥出雲では一人暮らしの鍛冶職人が忽然と消息を絶っていた。
嫁いだ孫娘の由紀子は警察に届けることに。由紀子の祖父の佐木田は東京へ行ったようだった。
ふたつの失踪事件が同つながるのか。
そして遺体は発見される。意外な形で。

率直に言うと、ミステリーとしても、人間ドラマとしても全体的にちぐはぐな感じがしてしまい、イマイチ好みではなかった。
冒頭、ホームレスの描写・・・だけど、ホームレスは特に関係なし。たしかに、ホームレスの人々は家族や社会から失踪した人々ではあろうけど、そこで感じた期待とは物語の方向は違う。
佐木田老人の孫娘への愛情や、孫娘の東京での暮らし、孤独に生きる女性の姿を描くでもなく、孫娘の彼氏の転落振りの顛末が描かれるわけでもなく、二人の間の確執が描かれるでもなく・・・。
気の持たせ方に違和感を感じた。
私の好みの問題と思うけど、ことごとく期待とは違う方向に話の核心があった気がしたので・・・。

あと、些細なことかもしれないけど、「眠る」の表記が「眠むる」になっていて、気になったし、登場人物や団体の固有名詞を「××」にしている部分があり、それも慣れないせいか違和感。たしかに固有名詞が乱発していると混乱するけど・・。
大の大人の一人称が「ボク」なのも違和感。小説の雰囲気からして、平仮名か漢字表記にして欲しい。どれも些細なことかもしれませんが、気になりました。


事件の陰には、三十数年前に起きたある事件が鍵を握っていて、それを今でも執拗に追いかける元刑事、石丸の姿があります。石丸は佐木田の背後関係に、自分が追う事件の鍵があると見て、長年佐木田に目をつけているのです。
この石丸の執念・・・そして葛西たちが実直に捜査を重ねて、二方向から事件の真相に迫っていくあたりは面白く感じたし、またラスト佐藤老人の感慨などは胸が熱くなりしみじみとした感動があった。
佐藤の孫の田んぼへの愛情などは本当によかったので、そのあたりをもっと大写しにしてもらったら私にも興味が持て、面白かったのでは?と思う。

辛口、ゴメンナサイ。
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