【本】アンチェルの蝶/遠野潤子

アンチェルの蝶
遠田 潤子
4334927912


面白かったです!!
初めての作家だったけど、「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビューという話だったので、本作が出版としては2作品目のようですね。私はファンタジーが苦手なので、「月桃夜」もちらっとチェックしたけど、たぶん読まないだろうな。
でも、この「アンチェルの蝶」みたいなミステリーなら今後も読んでみたいですね。
私が好きなタイプのミステリーでした。


【story】
大阪の港近くの下町で、薄汚れた古い居酒屋「まつ」を経営する藤太のもとへ、かつての同級生、幼馴染の佐伯秋雄が25年ぶりに訪れた。秋雄は小学生の女の子を連れており、藤太にいきなり「その子をたのむ」と言い残して去っていった。
女の子は「ほづみ」という名前で、「いづみ」の娘だという。
途方にくれる藤太だったが、翌日、秋雄が自宅マンションの火事で行方不明になっているという。
いったい秋雄はどこへ。
ほづみと暮らし始めた藤太に、秋雄といづみとともに過ごした中学時代の思い出がよみがえる。
カレル・アンチェル指揮の「新世界より」を聴いては泣いていたという秋雄。
秋雄は、そしていづみはどこに消えたのか。

【感想】
物語の雰囲気がとてもミステリアスでよかった。
小汚い居酒屋に突然やってきたかわいいかぐや姫のようなほづみ。
もちろん、独身の中年男にいきなり「父親代わり」は勤まらず、紆余曲折があるのだけど、なんとかほづみを育てよう、傷つけないように寄り添おうという藤太の気持ちが好ましい。
応援したくなってくる。
人付き合いを嫌い、誰にも心を開かなかった藤太がほづみによって変わっていくあたりや、居酒屋の雰囲気や居酒屋の客たちまで変わっていくし、ほづみを間にして藤太と客たちの間の壁が取り去られていく様子など、見ていてとても気持ちがいい。
そして、じょじょに藤太や秋雄、いづみの「過去」が明らかになるのだけど、そこにある過去の事実は本当に惨い。
悲惨な子供時代を寄り添うようにして生きていた3人が、いじらしくて切なくて愛しく感じた。悲惨な子供時代をすごしているからこそ、いま、藤太にはほづみと一緒に幸せになってもらいたいと願いながら読む。
秋雄が隠そうとした真実は苦々しく切ないものだけど、今後のふたりの幸せを願わずにいられない。
どうか、どうか・・・と願わずにいられないのである。

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