砂漠の薔薇/新堂冬樹

4344010965砂漠の薔薇
新堂 冬樹
幻冬舎 2006-01

by G-Tools


またしても後味の悪い本を読んでしまった。
これは実際に起きた「お受験殺人」として記憶に残る、東京文京区の幼女殺人をモデルとしたストーリー。新堂さんはこの事件をどう「本」にするのか?と、興味しんしんで読んだけども、はっきり言えば読んでる間中気分が良くなくて読後感も悪かった。

主人公が犯行に至るまでの動機付けに「説得力」もなかった。

そもそも、実際の事件を扱ってるのでどうしても「実際の事件のときはどうだったのだろう」「実際の加害者はどう思っていたのだろう」「実際の被害者はどう思っていたのだろう」と、各部分でフィクションである本書と比べてしまい、本書にはのめりこむことが出来なかった。

本書のあらすじ+++

同じ幼稚園を目指している「お受験グループ」に所属する主人公のぶ子。
周囲は裕福でセレブなんだけど自分の家庭は夫が教材の訪問販売をしている、ごく普通生活レベルの家庭。
その彼女が「グループ」の中で浮いていて、イジメみたいな目に合ってる。ことあるごとに彼女をエサに、生活レベルの格差を話題にして、周囲は盛り上がるのだ。
そして公団にある家に戻れば「お受験させる」と言う目で、また公団の主婦たちからもつまはじき。
そんな中唯一の理解者であるかに見える、十和子。彼女はのぶ子の幼馴染であり、グループの中の中心人物であり、メンバーの憧れの人物なんだけど、のぶ子は彼女に心の中にすごい確執を持ってる。
それが高じて、殺人を犯すのだけど…。

+++

ともかく、主人公が子どもを受験させたがったり、お受験メンバーのグループに無理して入ってること自体、読んでて違和感が拭えない。
「そんなに辛いのならやめれば良いのに」と思える。
十和子に対する確執が殺人のきっかけになったのだけど、そこが一番の「説得力の不足」を感じるところ。

実際の事件の加害者も、いろんなサイトで検証や解説を読んでも、はっきりとした動機は伝わってこないのだから、小説ではなおのこと仕方がないことなのかもしれない。

読後の不快感は、考えてみればテーマからして当然と言えるのかも知れず、読んだ自分に「こう言う本を読みたい」と思った罰が跳ね返ってきた、と思っても良いかも。
実際のあの事件にしても、ただひたすら痛ましい。死んだ(殺された)こどもがかわいそうでたまらないし、ご家族の痛みを思うとやり切れません。
それを踏まえて本にするのなら、そこから何か感じるものがあるような作品を期待したかったけど、スキャンダルをそのまま本にした感じだったのかなぁと…。それが後味の悪さの原因かなと思いました。
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21:19 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(2)
この事件も本になったんですか。
確か桐野夏生さんが、興味を持って、心の闇という事を語っていたと思うのですが、新堂さんが小説にしたのですね。

なんともやりきれない事件でしたね。普通に暮らしていれば、何事もなかったのに。

人間の虚栄心とは怖いものですね。

2006/03/21(火) 20:58:33 | かいくん │ URL | [編集]

こんにちは~~♪
桐野さんも、他の小説で、実際にあった事件を本にしてますよね?東電OLの事件でしたっけ。アレは読んでないんですけど(残虐記、だっけ?グロテスクだっけ?)またいつか読むような気がします。
そして「読まなきゃよかったー」とか思うのかも…。

実際の「音羽お受験殺人」のほうはなかなか複雑でして、なんで殺してしまったか、よく分からないみたいですよ。

理解できる~~っていうのも、怖いですけどね!

2006/03/22(水) 13:35:34 | short │ URL | [編集]

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